「Let It Go~ありのままで~」カラオケ人気の秘密
5月に入ってから、各カラオケメーカーの発表するカラオケ週間リクエストランキングに異変が生じました。それまでの約半年間、一位をキープし続けたAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を抜いて、松たか子さんの「Let It Go~ありのままで~」が一位となりました。DAMのランキングでは、May J.さんのバージョンも上位にランクインしています。なぜ、これほどまでに多くの支持を集めているのでしょうか?もちろん、映画「アナと雪の女王」の人気による知名度が第一でしょうが、楽曲そのものを分析してみると、おおよそ3つの要素が浮かび上がってきます。
メロディーが耳に残りやすい
何と言っても、サビの「ありの~ままの~」があまりにも印象的です。一度聴いたらなかなか耳から離れないフレーズです。「レリゴー現象」の名の通り、無意識にサビを口ずさんでしまう方も多いことかと思います。(もっとも、日本語版では「レリゴー」とは歌っていないので、厳密には「レリゴー現象」の呼び名は正しくない気もしますが……)。メリハリが大きいので歌い心地が良い
歌っていて気持ちの良い曲の条件のひとつに、「メリハリ(抑え・張り)の起伏の大きい曲」が挙げられます。この曲の伴奏構成はまさにメリハリ十分で、歌い出しは抑えめに始まりつつも徐々に盛り上がり、サビにて最高潮に達します。なので、伴奏の流れどおりに歌いさえすれば、誰しも自然とメリハリが入るはずです。このことが、多くの人が「歌って気持ちが良い!」と感じる理由のひとつではないかと思います。また秀逸なのは、ラストのフレーズ「少しも寒くないわ」。それまで大きく盛り上がっていた最後の大サビから一転、低く抑えたこのフレーズで一気に終わります。この盛り上がりから抑えへの落差が、程よい余韻が残すのです。この余韻もまた、人を「もう一度歌いたい」 「もう一度聴きたい」と感じさせる要素のひとつ。カラオケで繰り返し歌われる理由も、こうしたところにもあると言えそうです。
歌詞が前向きで感情移入しやすい
1番のサビ前からの歌詞に注目してみましょう。「とまどい傷つき」「誰にも打ち明けずに悩んでた」という抑えられていた感情の独白から、「それももうやめよう」という開放宣言を経て、サビの「ありのままの」へと続いていきます。こうした「抑圧」の歌詞がサビ前にあることによって、サビ以降の「開放」の歌詞がよりいっそう際立ちます。2番以降は、「なんでもできる」 「そうよ変わるのよ私」と開放的な歌詞が続き、そして最後の大サビ、「これでいいの自分を好きになって」で、最大限の自己肯定に達します。人は誰しも大なり小なりの悩みを持ち、多少の我慢を抱えながら日常生活を送っているもの。そういう意味でも、抑圧を開放して自分を励ます内容の歌詞は万人から共感を得やすく、それゆえに誰しもが歌っていて気持ちが入りやすいものです。こうした自己開放をテーマとした歌詞もまた、カラオケで多く支持される理由の一つと言えそうです。
真剣に歌うと難易度の高い曲
とは言え、この「Let It Go~ありのままで~」、音域も2オクターブと広く、最後の大サビ前はハイトーンが続くので、真剣に歌いこなそうとするとかなり難易度の高い曲です。そういう意味では、無理に上手く歌い上げようと頑張るよりもむしろ、この曲が自然に持つ「歌い心地」に乗って楽しく歌えれば十分かと思います。少々音程が外れたとしても声がひっくり返ったとしても、きっと気持ちよく歌えるはずです。もちろん、カラオケ上級者にとっては挑み甲斐のある曲ですので、自信のある方はとことん歌い込んでみてください。日本語版を極めた方は英語版に挑戦しても良いでしょう。さまざまなレベルのカラオケファンが楽しめる一曲かと思います。
間違いなく2014年のカラオケ代表曲となるはずの「Let It Go~ありのままで~」。今年のカラオケは「レリゴー」で盛り上がってみませんか?