首都圏の着工戸数が大幅減。供給戸数減の可能性大
工事費アップでプランニングにも影響が出る
国土交通省発表の平成26年4月度の建設着工統計によれば、平成26年4月度の首都圏分譲マンションの着工戸数は、3,098戸。これば、前年度よりも47.1%のマイナスです。対前年でマイナスなのは、3カ月連続。工事費の上昇や用地不足の影響が少なからずありそうです。東京五輪の開催計画にも影響が出始めている工事費の上昇。少なくとも首都圏では、供給戸数が大幅に増える可能性は少ないのではないでしょうか。1月から4月までの着工戸数を比較しても前年比で-15.8%です。消費税5%の請負契約の期限後の平成25年10月以降の7カ月では、着工戸数が前年同月を上回ったのは、1カ月のみです。また、工事費の上昇がマンションの商品企画に影響する可能性も否定できません。階高や工法・構造などの影響や、専有面積の圧縮化なども今後進むかも知れません。大規模マンションの現在のラインナップは、東京五輪決定前に着工していた物件も多く、構造面を含めて商品企画が魅力的なマンションが多くあります。一方で、これからプランニングする物件の多くは、建築コストが企画のネックになりそうです。
さらに注意したいのが2015年10月に予定されている消費税10%への引き上げです。政府は、7月~9月のGDPなど景気の動向を判断する上で12月に決定する予定ですが、景気に対する大きなマイナス要因が無ければ予定通り10%に引き上げるのではないかと思います(あくまでも私見です)。
大胆な日銀による金融緩和などでデフレからの脱却を目指していますが、プライマリーバランス(税金などの収入と社会保障費・公共事業などの支出のバランス)がマイナスのままインフレになると、今まで以上に財政状況が悪化します。そう考えると、政策の方向性から見ても引き上げざるを得ないのではないでしょうか。
当然、新築分譲マンションや新築戸建の価格にも影響が出ます。建物価格が2,000万円と考えても2%の消費税増だと40万円のアップになります。
今買うためになすべきことは、ライフプランの確認
「どうしたいか」「どうありたいか」で、マンション探しを
マンション購入で、迷われている方には家族のライフプランの確認をすることをお薦めします。「これからどうしたいか」「将来どうありたいか」を考えて、どうするか決めてはいかがでしょうか。その際に、提案したいのが「視座」を変えることです。「視座」とは、漢字の通り「見る場所」。現時点でどうするかを考えて購入を検討するのが一般的ですが、例えば5年後、10年後、20年後といった位置から考えてはいかがでしょうか。「子供が生まれたら」「子供が成長したら」といった問いも良いと思います。
また納得感ある購入をするために、賃貸の場合と購入した場合の損得勘定をするのも一考です。私も購入時に賃貸と購入でシミュレーションしました。やってみてわかったのが、20年後に購入したマンションの資産価値が4割も下がっていたとしても買った方が得という結果でした(物件や購入プラン、金利動向で異なります)。
先行きが不透明な中、資産価値を判断基準にするもの一つのモノサシですが、時代の移り変わりは今に始まったことではありません。自分のしたい気持ちや感性を信じてマンションを探すのも今のような時代は大切ではないでしょうか。
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