旧字「來」は名前に使えるか

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 旧字でも名前に使える字がある

Q:「來」の字を女の子の名前に入れたいのですが、この字は名前に使えるでしょうか?

A:來は来の旧字ですが、名前に使える範囲の字です。新字の「来」の字の方は未来(みく)、来斗(らいと)などとよく名前で使われていますが、來の字を使いたいという人も最近ごく少数ながらいます。おそらく歌手の倖田來未さんの影響でしょう。

名字に使われる字でも、「斉、斎、齊、齋」「辺、邉、邊」「島、嶋」「峰、峯」「浜、濱」など、同じ字種で書き方が違うことがよくありますが、このように書き方の違う字は、お互いに「異体字」と呼ばれます。

またたとえば、「桜」と「櫻」はお互いに異体字ですが、本来は櫻の字が基準で社会に定着していました。桜は後から作られた字です。そういう場合、桜と櫻は、異体字という言葉より、一般に「新字」「旧字」という言葉で区別されています。来と來も、新字、旧字と考えればよいわけです。

昔は常用漢字の異体字は名前に使えませんでしたが、1981(昭和56)年に常用漢字の旧字や異体字のうち194字体が名前に使えるようになりました。いわゆる許容字体と呼ばれる字です。その翌年に生まれたのが倖田來未(本名・神田來未子)さんで、前の年に解禁になった字が名前に使われたわけです。

現在名前に使える漢字は、常用漢字と人名用漢字を合わせて2997字ですが、その中に旧字・異体字が230字あります。

名前によく使われる旧字

旧字の中で名づけで最も人気のあるのは、何といっても「龍」の字です。新字の「竜」の方が画数も少なくて使いやすいですが、龍は画数が多いからこそ重みがあっていい、という人も多いのです。

「遙」の字は、この書き方が広く普及していて、新字の「遥」の字を知らない人も世の中に多く、わざわざ新字にするメリットが実感しにくいので、実際は新字も旧字も名前に使われます。

「凛」の字は、もう一つ「凜」の字があるわけですが、これらはそもそもどちらが正字か新字か見てもわかりません。ですから両方の字が名づけに流行しています。ただこの字の最古の字にはイネの絵が描かれていますから、ノギヘンのつく「凜」の字の方が成り立ちを忠実に伝えてはいます。辞典でも「凜」が正字とされ、「凛」はその異体字、俗字となっています。

本来はどの漢字が正しいのか

このように漢字の難点をいえば、何と言ってもその複雑さです。漢字は長い歴史の中で、これでもか、これでもかと多くの字が作られ、同じ字にいくつもの書き方があり、収拾がつかなくなっているのです。

同じ字の中の1つが「正字」と決められと、他の書き方を異体字と呼ぶこともあります。正字といっても、他の字が間違っているという意味ではなく、代表的な1つの書き方を決めておくと何かと便利だということで、正しいかどうかは別の話です。

たとえば「隣」の字は常用漢字の1つで、誰もが使う字です。左右が入れ替わった「鄰」の字は、辞典に異体字と書かれたりし、誰も使いません。しかし、左側に書かれる「こざとへん」は隆、陸、陵、陽などの字のように高いことを表し、右側に書かれる「おおざと」が郷、邦、郊、郡の字のように、範囲を表すことを考えると、実は「鄰」の字がまともで、常用漢字の方がおかしな書き方だ、とも言えるのです。
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