オーチャードホールの魅力をどのようにプログラムへ
反映させていくのでしょう?
熊川>プログラムに関しては、まず各々のアーティストに意見を聞きながら、上下左右バランスを取りつつ、またこれから試行錯誤をしながらさらにより良いものにしていきたいと思っています。この劇場の場合、ワーグナーを並べるというのもやはり意味があることだと思う。意味がありつつ、基本的にアーティストたち本人の得意とするものを揃えていきたいと考えています。クラシックの世界、なかでも僕は舞踊畑のクラシックの世界でとても豊かな人生を送らせていただいています。今回のプログラミングには、日本人の持つ民度の高さというものを、ここオーチャードホールを通して再確認する意味も含め、メッセージとして込めたいと思います。
昨今テレビ業界にしてもそうですが、ポップカルチャーというものが浸透している一方、視聴者離れという現象が起こり始めている。それはハイカルチャーを求めているということであり、日本人の中に素晴らしい感性がある証拠と言えるでしょう。
諸先輩方が世界に向けて1800年代にジャポニズムという名を欲しいままにしたあの時代のイズムを受け継ぎながら、我々が今舞台でできることをしていく。それにより、子供たちや日本人の中にある素晴らしい美的センス、教養といったものを起爆させ、拡大させていきたという気持ちがあります。プログラミングに関しては、広上先生と相談しつつ、アドバイスをいただきながらつくっていけたらと思っています。
(公財) 日本オペラ振興会
(C)池上直哉
広上>プログラミングに関しては、いろいろなアーティストのご意見もあると思いますので、それらをまとめながら前に進んでいけたらと思います。ものごとが決まるときはたいてい指揮者や監督が全部決めちゃうんだろうとみなさん思われるでしょうが(笑)、こういうものはいろんな主旨をどうやって生かすかというのが重要になる。まずはオペラの中からワーグナーとヴェルディを選び、そこに熊川監督の体験してきた経験から出てくるアイデアを散りばめながら、多くのお客さまに共感していただけるプログラムにしていきたいと思っています。
錦織健 (C)大八木宏武(都恋堂)
バレエの好きなひと、オペラの好きなひと、オーケストラの好きなひと、いろいろな方がいると思います。この25周年ガラでは、全部が融合し、何て素晴らしいものなんだろうと思っていただけるような舞台にしたい。普段オーケストラを聞いていた方が今度はバレエを観に行こうという風に、お客さんがどんどん増えてくれればと思います。今回のプログラムの中から、いろいろなものを感じていただき、多くの方々に足を運んでいただけるようになればと考えています。
森麻季 (C)Yuji Hori