家族がもっと愛おしくなる内田麟太郎さんの絵本『たかーい たかーい』
ぞう、さる、きりん、へび……。色々な動物のお父さんとお母さんが次々登場し、その体形や体の特徴を生かして、楽しい遊具に大変身! くじらの「たかーい たかーい」遊びは、何を使ってやるのでしょうか? とびきりダイナミックですよ!体を使った親子の遊びが繰り返されていくシンプルな展開で、文字も少ない小さい子向けの絵本。のびのびとした表情と笑顔に包まれた動物の親子たちの遊びの世界に、ぐいぐい引き込まれてしまいます。家族がもっと愛おしくなるような気持ちになる、温かさに満ちています。
繰り返すフレーズと色々な擬態語、1~2歳の子におすすめ
「かあさん ちょっと」「とうさん ちょっと」と、動物のお父さんとお母さんが相手を呼ぶフレーズが繰り返し出てきます。声のトーンを色々変えて読んでみると楽しいですね。ブランコが「ゆらゆらゆら」と揺れる様子、縄跳びを「ぴょんぴょんぴょん」と跳ぶ様子、滑り台を「するするする」と滑り降りる様子など、擬態語もたくさん出てくるので、絵だけでなく言葉の楽しさも、おしゃべり前や片言のおしゃべりが始まったころの、1~2歳の子の心を引きつけるでしょう。絵本に込められた作者の思い
ところでみなさんは、「たかいたかい」や「いないいないばあ」などを、両親や親戚などの大人たちにやってもらった記憶はありますか? こういった遊びをやってもらうのは0~2歳ぐらいのころであることが多いので、やってもらったとしても記憶には残っていないことが多いのではないでしょうか?作者の内田麟太郎さんは絵本のカバーの裏に、自分にも、母からも父からも「たかーいたかーい」をしてもらった記憶はないけれど、心のどこかにそれをしてもらったという確かな記憶がある……というメッセージを寄せています。人は時に残酷な気持ちになったり、ある線を越えようとしてしまうような普段の自分とは違う心の状態になってしまうことがあるけれど、内田さんにそうさせないように働きかける強い力が、幼いころの「思い出せないけれど確かに自分の中にある記憶」だと。幼くして母親を亡くし、その顔も知らない内田さんに、自分を「たかーいたかーい」してくれた母親の顔が浮かんでくるそうです。
幼少時の体験はやがて薄れて消えてしまうことも多いけれど、確実にその後の人生の根っことして自分を支えている……。そんな内田さんの熱い思いが、楽しい遊びで笑顔いっぱいの動物たちを通して、軽やかに、かつしっかりと伝わってきます。