王者まゆゆの気高さに新生AKB48を見た
今年の1位は誰かを決定づける“総選挙第2位”の発表で、「最終獲得票数141,954票」に続けて徳光アナから発せられた声は「HKT48…」。その瞬間の7万人の驚愕の声は、味の素スタジアムに刻まれた数々の歴史的瞬間に勝るとも劣らないものではないでしょうか。そして前年の総選挙1位から陥落したHKT48チームHの指原莉乃のマイクのあと、今年の総選挙1位の発表を始めると共に起きた万雷の「まゆゆ」コール。その会場の空気には、あらためて渡辺麻友の“絶対ベビーフェイス”にして“絶対アイドル”性を見せつけられた。あらためて、まゆゆとそのファンに「参りました!」と言いたい今年のAKB48総選挙でした。3位の柏木から2位の指原までは3万7千票余りの差。文字通りの一騎打ちでした。画像はAKB48 37thシングル選抜総選挙サイトより http://www.akb48.co.jp/sousenkyo/37thsingle/
80位まで枠が増えたことで若手やこれまでランクイン出来なかったメンバーにもチャンスが生まれた今年のAKB48 37thシングル選抜総選挙。そこに起きた岩手の握手会襲撃事件。その後の握手会イベントは全て中止となり、開票イベントの継続も危ぶまれましたが、手荷物検査強化のための入場時間前倒しといった変更はありつつも、7日の総選挙開票イベントは予定どおり味の素スタジアムで行われました。正確には土砂降りの雨のためにライブが12曲が中止になるなど「予定どおり」ではありませんでしたが。
これまで圏外続きだった古参・中堅メンバーのランクイン、若手メンバーの台頭など、様々な動きがありながらも、やはり一番の驚きは渡辺麻友の総選挙第1位。昨年まさかの第1位を奪取した指原莉乃でしたが、選抜曲『恋するフォーチュンクッキー』はAKB48の枠を越えるビッグヒットを記録し、自ら支配人としてメンバーを指揮するHKT48も絶好調。個人としてのタレント仕事でもグループ一番の多さと、彼女が1位から落ちる要素はひとつも考えられませんでした。実際、選挙期間に入り、速報で発表された票数でも圧勝。しかし最終的には2位に1万票以上の差をつけて渡辺が逆転勝利を果たしました。
この結果を受けて、AKB48はどう変わるのか…ということよりも、ここでは「どう変わらなければならないのか」を考えるべきでしょう。それは前述した握手会襲撃事件の記憶が冷めない中で行われたこの総選挙は、「これからのAKB48」ひいては「これからのアイドル」を提示する立場であるからです。
グループの顔となった渡辺麻友は否応なく「事件後のAKB48」を象徴する存在になります。ステージ上でのマイク「AKB48は私が守ります!」はその覚悟の表明でもありました。その決意は彼女にこれまで以上の逞しさと気高さ、そしてトップに立つ者としてのカリスマ性を感じさせるもの。「守る」とはいっても別に彼女がスタッフとして動くわけではない。ただ、再始動するAKB48の顔として今の彼女の力強さは何よりふさわしいと思えるのです。