そのワケは、白樺
翌朝。あれだけ羊を頂いたのに胃は軽い。上質な肉の証拠です。朝食の前に周辺の白樺林を散歩してみませんか。実は、この林に宿のもう一つの魅力があるのです。白樺から出る樹液はアイヌの人々の飲料として調理用として用いられてきたといいます。収穫時期は白樺の根元の雪が徐々に解け始める4月の中頃から僅か3~4週間ほど。この時期に訪ねた人だけが出来る特別な体験です。
ご主人の後を追って林に入ると、幹の下には点々と銀色の缶が。開けてみると幹から伸びたホースから無色透明な液体が注がれていました。
樹液といっても飲み口は水と変わりません。アイヌの人々は甘味を感じて“おやつ”代わりにしていたといいますから、どれだけ敏感な味覚だったかと思うと驚きます。水分以外にミネラル成分が含まれているそうで、飲料や化粧品として加工され、宿で販売されています。
羊飼いという理想を追い求めて厳しい環境に飛び込んでいった柳生さん夫妻。しかし、羊牧場、農場、宿だけでは難しかったであろう、と言います。白樺という自然の恵みが生活の一部を支えているのです。
私たち旅人は、ファームイン・トントで、そんな夫妻の開拓スピリットや生きる勇気をもらいます。これも、自然の成せる業とでもいいましょうか。一人旅も歓迎だそう。変わらぬ毎日に刺激を与えたい時。ぜひ、訪ねてみてください。
■北海道・仁宇布(にうぷ) 「ファームイン・トント」
・住所:北海道美深町仁宇布437-3
・TEL:01656-2-3939
・料金:1泊2食付き 7,000円(税込み)~
※冬季は暖房費各料金にプラス400円
(注)詳しくは宿のホームページをご覧ください。
・地図:Yahoo!地図