届出制の抜け穴を利用したプロ向けファンド
何が抜け穴なのか、ということですが、投資信託などの金融商品を一般投資家向けに販売する際、その運用や販売を行う業者は、金融商品取引法上の登録を必要とします。一方、プロ向けファンドの場合は、極めて簡便な届出のみで、ファンドを運用・販売することが出来ます。そして、「プロ向け」という以上は、適格機関投資家などプロの投資家を対象にすると思われがちですが、実は適格機関投資家が1名、投資していれば、残り49名を上限として、個人などの一般投資家にも販売できることになっています。
これを上手く利用すれば、悪徳業者にとっては個人からお金を詐取する仕掛けを簡単に作ることができます。
何しろ届出制ですから、監督官庁による厳しいチェックは入りません。
もちろん、プロ向けファンドですから、最低でも1名の適格機関投資家は見つけて来なければなりませんが、適格機関投資家の届出を行った業者の一覧を見ている限り、ここでも厳しい審査基準が設けられているわけではないので、適格機関投資家も作り上げることができそうです。そこまでやれば、あとは個人投資家をターゲットにして、やりたい放題で資金を集められるというわけです。
絶対に聞く耳を持たないこと
とにかく、この手の業者にお金を出したらアウトです。恐らく、「運用に失敗した」とか何とか、適当な理由を付けられて、投資した資金の大半は戻って来ないでしょう。特に、プロ向けファンドの問題は、高齢者がターゲットにされていることです。歳を取り、これまで築いた資産で残りの人生を生活しようと思っていたのに、その大半の資金を悪徳業者に詐取されてしまったら、残りの人生設計を大幅に見直さざるを得なくなります。
現在、国民生活センターにもプロ向けファンドの相談件数が激増しています。それだけに注意が必要です。
現在、金融庁では夏場をめどにして、プロ向けファンドのルール改正を進めていますが、いつの時代もこの手の詐欺事件は無くなりませんから、きちっと登録している投資信託会社以外からファンドの販売に関するセールスがあった時は、耳を絶対に傾けないことが肝心です。