ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

気になる新星インタビューvol.7 神永東吾

全国公演を経て目下、東京凱旋公演が上演中の『劇団四季ソング&ダンス60 感謝の花束』。ボーカルパートにキャスティングされている俳優の一人で、出演日には溌剌とした姿を見せ、「あの俳優さん、どなた?」と客席を沸かしているのがこのかた、神永東吾さんです。入団五年目、既に『ジーザス・クライスト=スーパースター』タイトルロールも演じている新進気鋭。その素顔に迫ります!*『JCS』観劇レポートを掲載しました!*

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

神永東吾undefined韓国・光州出身。大学の演劇学科に在籍中、劇団四季の研修団に参加。2009年オーディション合格。『エクウス』で初舞台を踏み、『ジーザス・クライスト=スーパースター』ジーザス、ペテロ、アンサンブル、『ガンバの大冒険』シジン、『ミュージカル李香蘭』王玉林などを演じている。『エビータ』『はだかの王様』『ハムレット』にも出演。(C) Marino Matsushima

神永東吾 韓国・光州出身。大学の演劇学科に在籍中、劇団四季の研修団に参加。2009年オーディション合格。『エクウス』で初舞台を踏み、『ジーザス・クライスト=スーパースター』ジーザス、ペテロ、アンサンブル、『ガンバの大冒険』シジン、『ミュージカル李香蘭』王玉林などを演じている。『エビータ』『はだかの王様』『ハムレット』にも出演。(C) Marino Matsushima

*3ページ目で『ジーザス・クライスト・スーパースター』観劇レポートを追記掲載しました*

劇団創立60周年を記念して、豊かなレパートリーの中から厳選したナンバーに、劇団随一の名ダンサーでもある加藤敬二さんが斬新なアイディアで演出・振付をほどこし、見せてゆくショー『劇団四季ソング&ダンス60 感謝の花束』。『キャッツ』『オペラ座の怪人』等の海外ミュージカルはもちろん、『ジョン万次郎の夢』などのオリジナルミュージカルも含めた名曲の数々が、意表をついた趣向で次々に繰り出し、目を耳を楽しませます。

男性ボーカル枠3人のうち若手パートにキャスティングされ、『キャッツ』の「スキンブルシャンクス」や『リトル・マーメイド』の「アンダー・ザ・シー」等を清々しく歌いあげているのが、神永東吾さん。『ジーザス・クライスト=スーパースター』タイトルロールや『李香蘭』王玉林など、これまでシリアスな役どころが多かっただけに、その爽やかな好青年ぶりは観客にも強いインパクトを与えています。どんな方なのでしょうか。

『ソング&ダンス60』で名曲に新たな命を吹き込む


――『ソング&ダンス60 感謝の花束』東京凱旋公演、とても躍動感のある舞台ですが、ご自身の手応えはいかがですか?
『ソング&ダンス』より「アンダー・ザ・シー」撮影:荒井健

『ソング&ダンス60感謝の花束』より「アンダー・ザ・シー」撮影:荒井健

「僕にとっては大きな挑戦です。キャスティングされたときは一瞬、僕の実力では無理なんじゃないか?と思いました。曲もダンスも多いし、何より、『ソング&ダンス』は笑顔が大事な作品ですが、これまであまり明るい役を演じたことがなくて(笑)。怖くてしかたがなかったのですが、他の出演者に迷惑をかけないようにと、一生懸命取り組みました。開幕して(1か月経ち)今は調子を掴めてきた気がしています」

――サングラスをかけて男性が一列になって歌う「キス・ザ・ガール」(『リトル・マーメイド』)もスタイリッシュですし、リードボーカルの神永さん以外の皆さんが打楽器に挑戦する「アンダー・ザ・シー」(同)も祝祭感溢れる素敵な演出ですが、シンプルながら意外性があって面白かったのが「迷いつつ」(『アイーダ』)でした。もともとはアイーダとラダメスの愛のデュエットですが、今回は神永さんが歌っていて、終盤に女性ではなく、男性(筆者の観た日は飯田達郎さん)の声が加わる。それまで、当然のように男女の愛のデュエットとして聴いていたのが、この瞬間に今回の舞台では違う意味合いが込められていることに気づかされます。
『ソング&ダンス』より「迷いつつ」撮影:上原タカシ

『ソング&ダンス60感謝の花束』より「迷いつつ」撮影:上原タカシ

「僕も旅公演でこのシーンを観た時に驚いたのですが、自分が歌わせていただくにあたっては、この曲は男女の愛ではなく、生き方についての歌なのかなと感じながら歌っています。自分の中に、迷いのある自我があるけれど、ぶれずに道を行こう、という決意の歌です。終盤にデュエットする男性ボーカルは、もう一人の自分だったり、先輩のような存在。その声を耳にしながら決意を歌っているんです」

『ソング&ダンス60感謝の花束』より「暴走族」撮影:上原タカシ

『ソング&ダンス60感謝の花束』より「暴走族」撮影:上原タカシ

――もう一つ、思わず小さく吹き出してしまったのですが、70年代のディスコ風セットの中で歌う「スーパースター」(『ジーザス・クライスト=スーパースター』)は別の男性ボーカルの担当曲ですが、最後のコーラスに神永さんも登場されますね。ジーザスを演じていらっしゃった神永さんが「だ~れだ、あなたはだ~れだ~」と歌っていらっしゃるのは、何とも……(笑)。

「面白いですよね。僕も歌いながら他の出演者と目が合うと、一瞬、ちょっと恥ずかしいですね」

――この演目で楽曲に触れたことで、改めて「参加したい」と思った作品はありますか?

『ソング&ダンス60感謝の花束』より「キス・ザ・ガール」撮影:上原タカシ

『ソング&ダンス60感謝の花束』より「キス・ザ・ガール」撮影:上原タカシ

「全部です!特に自分が歌っているナンバーはどれも魅力的で、本編のほうにもチャレンジしたくなります。『ノートルダムの鐘』の「天使が僕に」も素敵なナンバーで、僕に合うバラードかなあと思いますが、この作品はアニメーションで、舞台版が無いんですよね。ちょっと残念です」

*次ページでは舞台を目指した意外なきっかけ、役者としての夢を話していただきました!

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