下部温泉とは
下部温泉(山梨県身延町)の特徴を一言で表す言葉が「信玄の隠し湯」。戦国最強を誇った武田軍の強さには、負傷兵の温泉療養があったとされ、敵に真似されないように温泉の存在を秘密にしていたという意味です。実は山梨県を中心に「信玄の隠し湯」を名乗る温泉地は多数あるのですが、地理的にも傷の療養に向いた泉質的にも、下部温泉はまさに代表格といえます。駅周辺にも宿がありますが、下部川の渓流に沿って続く細い県道沿いに宿が立ち並んでおり、保養の温泉地らしく、落ち着いた風情が漂います。実は温泉だけでなく名水の里でもあり、日本のミネラルウォーターの草分けで、老舗のバーなどで今も根強く愛用されている「富士ミネラルウォーター」の発祥の地でもあります。(その後、採水地は富士吉田になった模様)
各宿で頂くお茶や料理も、水が良いので猛烈に美味くて、驚愕してしまいます。到着して、部屋の茶を飲んだ瞬間に違いが分かる程の旨さなのです。(茶処の静岡県に近いせいもあると思いますが)
今回は、山梨県を代表する保養温泉地、下部温泉を紹介します。
下部温泉の源泉、泉質
下部温泉の泉質は単純温泉です。単純温泉とは、25度以上の温泉ですが、下部温泉の主力共同源泉には31度の旧源泉と、51度の新源泉があり、歴史のある旧源泉は温いので、加熱した浴槽が別に用意され、交互に入浴するのが特徴です。自家源泉を所有している宿も多く、写真のように、古くから自噴する源泉そのままの岩風呂が名物になっている場合もあります。
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