シチリア王国海軍提督が聖母マリアに捧げたモザイクの教会
シチリア初代国王ルジェーロ2世の戴冠。増改築時に施された周囲を彩るバロック装飾とのコントントラストも面白い
シチリア王国初代国王ルッジェーロ二世を支えた重臣の一人であり、その有能さから宮廷内で最も権力を掌握した海軍提督ジョルジョ・ダンティオキア(アンティオキアのゲオルギオス)が設立した教会で、創建は1143年。もともとはギリシャ正教式の正十字形でしたが、後年、現在のキリスト教十字にバロック様式で増改築されました。
見どころは、中央ドーム内を彩る黄金のモザイクと足元のアラブ式幾何学模様のモザイク。「全知全能の神キリスト」や、天使や聖人など、降り注ぐ太陽に燦然と輝く精密な黄金のモザイクを見上げていると、その美しさに思わず息をのむほど。木製の椅子に座り、じっくり眺める時間をぜひ取りたいものです。
入口そばの身廊壁面(左右の壁)に飾られたモザイク画も要チェック。向かって右側には、ルッジェーロ2世がキリストから「直接」戴冠されている場面が描かれています。ローマ法王を通さず、直接キリストとやりとりをする。当時のシチリア王国の強大さを示していると言われています。
また、左側には、髭の男性が亀の姿になって聖母マリアにひざまづく、不思議なモザイク画。何を隠そうこの髭の男性が、かつてのこの教会のオーナー、ジョルジョ・ダンテオキア提督です!亀は忠誠心の象徴で、つまり、「マリア様に捧げる」の意味があるというわけです。
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■Santa Maria dell’Ammiraglio/ La Martorana(マルトラーナ教会)
住所:Piazza Bellini, 3
TEL:345-828-8231
開館時間:9:30~13:00、15:30~17:30(日祝9:00~10:30)
料金:2ユーロ