アマルフィ海岸の町、ヴィエートリってどんなところ?
ヴィエートリ・スル・マーレの町(撮影:河村英和)
ヴィエートリからみるアマルフィ海岸の景色(撮影:河村英和)
ヴィエートリの正式名称は、「海沿いのヴィエートリ」を意味するヴィエートリ・スル・マーレ(Vietri sul Mare)。 ユネスコ世界遺産に指定されたアマルフィ海岸の町のひとつで、ここからも風光明媚なあの独特の景色がのぞめます。 アマルフィ海岸とは、そもそもソレントとサレルノを結ぶ海岸線。その中間に位置する町がアマルフィで、ヴィエートリは最南端サレルノの隣り町で、陶器の生産で知られています。 アマルフィ海岸はもちろん、カンパーニア州内の観光地のお土産屋さんでよく見かけるあのカラフルな陶器の一大生産地が、この小さな町ヴィエートリなのです。
ヴィエートリのタイルで飾られている果物屋さん(撮影:河村英和)
アマルフィ海岸の町では、よく教会のドーム屋根に、緑や黄色の彩色陶器の瓦が張られていますが、ヴィエートリの一番大きい教会「サン・ジョヴァンニ大聖堂」のドーム屋根もその例外ではありません。 さらにこの町では、八百屋さん、魚屋さん、肉屋さんなど、一般商店の玄関周りも手描き陶器のタイルで、かわいく飾られています。なおヴィエートリから約2キロのところにある高台の村アルボリ(Albori)は、
「もっとも美しいイタリアの村」協会に選定された村のひとつで、ここもヴィエートリ市の管轄区になってます。
ヴィエートリ陶器の特徴と歴史
緑色のロバの陶器(撮影:河村英和)
ヴィエートリ陶器のカワイイお皿(撮影:河村英和)
イタリアでは全国各地で、それぞれの地方独自の手描きの陶器の生産が盛んです。 こういった手描き陶器は、一般的に「マヨルカ焼き」と呼ばれていて、15世紀のルネサンス時代から興隆し現代に至るのですが、ヴィエートリでは伝統的なモチーフものよりも、1930年代に考案されたポップでかわいい色とデザインが好まれる傾向。今もその流れを汲みつつ、常に新しく現代人の感性にマッチしたものを生産しているのが特徴です。ゆるいイラスト風に漁師や村人の姿を描いた絵柄は、じつはドイツ人のリヒャルト・デルカー(1896‐1955)や、ポーランド出身のイレーネ・コワリスカ(1905‐1991)といった外国人陶芸家たちの手によって編み出されました。
ヴィエートリの陶器店外壁のディスプレイ(撮影:河村英和)
最も味わい深くて重要な色は緑。当時の主要なアマルフィ海岸の交通手段だったロバにちなんだ緑色のロバの置物も、その頃から制作され、今もヴィエートリ陶器のマストアイテムとなってます。海沿いの町らしく、魚やタコのモチーフ、アマルフィ海岸の特産、レモン・モチーフ柄の食器、壁掛け、タイル、燭台、ランプ台など、様々なものが手描きであるがゆえに常に一点ものとして、ヴィエートリでは日々生み出されています。
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