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設立10周年!金森穣が語るNoismの過去と未来<後編>(6ページ目)

2004年に日本初の劇場専属舞踊団として新潟に誕生したNoism。3年ごとの契約更新を繰り返し、2014年4月をもって設立10周年を迎えました。ここでは、芸術監督の金森穣にインタビュー! 設立のきっかけから現在までの道程、今後の構想をお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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金森さんの中で、Noismのゴールは見えているのでしょうか?

金森>Noismとしてのゴールはあまり考えたことはないですね。まず、完結するものだとは思ってないから。日本の中に劇場専属舞踊団がいくつかできて、付属の学校があって、学校の授業で劇場に行くようになって、チケットもすごく安価で、スタッフや舞踊家たちの老後も保障されていて、文化人としてきちんと活動できる……という劇場文化が最終的な夢のゴール。それが、劇場文化100年構想。

そこに対して、今Noismに何ができるのか。他の都市でも舞踊団を起ち上げるようなことがあれば、そのときどういうものが必要かNoismの経験を踏まえて助言できればとは思う。でも結局最後はひとだし、その自治体の誰が何を求めているかによって、制度の意味も、意義も変わる。だから結局今こうして新潟で、Noismという活動を通してできることをやるしかない。

自分の中で“Noismがこういう風になって欲しい”というものはないんです。Noismは目的じゃなくて手段なんです。言ってしまえば、別にNoismという名前でなくてもいいと思うし……。だって、日本の劇場文化にはやらなきゃいけないことがいっぱいある。ただそれは金森穣としてやらなきゃいけないと思っていることであって、Noismとは関係ないこともある。そういう意味では、Noismもゆくゆくは自分が離れても動いてくれなきゃ困るんですけどね。

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『PLAY 2 PLAY~干渉する次元』改訂版再演(2013年) 
撮影:篠山紀信


他に新たな劇場専属舞踊団ができるという話を聞いたことは?

金森>風の噂で聞いたことはあるけれど、具体的な話にはなってないと思う。相談とかではなくて、ひと伝に聞こえてきては、いつのまにか立ち消えてる。

二番手・三番手ができない最大の理由は、やっぱりひとだと思う。レジデンシャル・カンパニーの価値を見い出すひとがいない。政治家でも自治体の役人でも、劇場の中で働いてるスタッフもそうだけど、専門家がいて、時間と場所があって、切磋琢磨して……という、身体表現のためにトレーニングすること、創作に時間をかけることがどれだけ大切かということを認識しているひとが日本の場合少ない。しかも、それで回っちゃってる。

出演者が有名だったらチケットが売れるから、興行的には成立してしまう。そして有名な人は忙しいから稽古の時間は取れない。いろいろな舞台で活躍しているひとたちがもっときちんと鍛錬したら、日本の舞台芸術界の水準も急激に上がるだろうけど、そんなことをしなくてもすでに成り立ってる。

それに、日本で活動してきたひとたちの場合、もし今劇場の中に入れたとしても、行政とやりとりしたり、カンパニーとして組織化していくのは難しいんじゃないかと思っていて。例えば、自分たちの活動のために稽古場が欲しい、という欲は持てるかもしれない。けれど、そのために必要なもの、何故朝から晩までスタジオが必要かということを、自分の経験値に照らしあわせて言語化すること、信念を言語化することが果たしてできるだろうかと……。

ただ、他にも劇場専属舞踊団ができないということに関しては、やっぱりまだまだ自分たちがダメなんだと思います。自治体にとって、この国にとって、劇場専属舞踊団はこれだけの価値があるということが立証できていないということだから。だから結局、まだ何も成し遂げられてないんですよね。まだまだだなって思います。


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『ZAZA ~祈りと欲望の間に』(2013年) A・N・D・A・N・T・E / 囚われの女王 / ZAZA  撮影:篠山紀信



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