経口減感作療法
この治療は、リスクを伴いますので、アレルギーの症状を把握しやすい年齢が望ましく、現在は5歳以上で行われています。微量でも誤って食べると症状が出る子どもは、いつ何時、アレルギーが出るか判りません。そのため、微量でも蕁麻疹などが生じたり、喘息や血圧低下などのアナフィラキシーを起こす子どもに対する治療として現在は位置づけられています。さらに、リスクを伴うことから、倫理委員会や書面による同意が必要と考えられています。急速法と言って、割と早期にある程度の量を食べられるようにする方法もあります。施設によって差がありますが、入院の上、初期量は微量で開始し、30分から2時間程度空けて、50~100%増量し、それを1日2回から6回行います。増量の仕方によりますが、1日~10日である程度の量まで食べることが可能になります。
緩徐法は、主に外来で行い、1日1回で1ヵ月ごとぐらいに受診し、無症状なら1週間に5~50%ずつ増量していていきます。この場合は、1~2年ぐらいかけてある程度の量まで食べることが可能になります。
減感作療法によって食べることができるようになっても、原因食材の摂取の中断、運動、胃腸炎の感染などにより予期しない症状が誘発されることが報告されています。私自身は、医師の数が少ないので、ゆっくりとした経口減感作療法を行っております。小麦でじんましんが出ていた子が、今は給食について何の制限なく食べられるようになりました。どの時期にそのような増やし方をするのか個々によって異なりますので、症状が出ないようにしていくことが大切です。
経口減感作療法の効果
この経口減感作療法の効果は原因食材によって異なります。相模原病院の海老澤先生の報告によれば、全国の入院での治療20 施設511例、外来32 施設889 例の1400 例の結果では、
- 鶏卵…入院 76% 外来 61%
- 牛乳…入院 62% 外来 61%
- 小麦…入院 72% 外来 65%
- ピーナッツ…入院 100% 外来 100%
- 大豆… 入院 50% 外来 24%
経口減感作療法のメカニズムはまだまだ判っていないことが多く、血液検査で原因食材に対するIgE は低下、IgG は増加し、制御性リンパ球が増えていることが言われています。
メカニズムが解明され、副反応も少なくなっていけば、どこでも行える治療になるかと思いますが、現時点で、特に急速法は、一部の医療機関で行われるのみとなっています。