楽しい絵でわらべ歌の世界に引き込まれる『わらべうたであそびましょ!』
ボンボン時計に金具の引手がついたたんすの上には招き猫の置物。絵本の中から昭和の香りがプンプンと漂ってきます。その部屋で、鏡台に向かってひとり遊びをするたあちゃん。たあちゃんの楽しげな歌声に呼ばれたかのように、鏡の中から次々と遊び相手が飛び出してきます! 絵本『わらべうたであそびましょ!』では、異次元を行き来できる鏡台を軸に、楽しいわらべ歌の世界が展開します。
「あがりめ さがりめ」「だるまさん だるまさん」……
「あーがりめ、さーがりめ、ぐるりとまわして、ねーこのめ!」。誰もがなじみ深いと思われるこのわらべ歌遊び。たあちゃんが鏡に向かって1人で楽しんでいたら、鏡の中からねこさんとだるまさんが飛び出してきました。「たあちゃん、あそびましょ」。2人のだるまさんが十八番の「だるまさん、だるまさん、にらめっこしましょ……」をするのと一緒に、たあちゃんもねこさんと一緒ににらめっこ遊び。遊びが盛り上がるにつれて、たあちゃんと遊びたい仲間が次々に鏡から飛び出してきます。躍動感に満ちあふれ、猫の目のようにクルクルと変わるたあちゃんと仲間たちの表情。この絵本を前にしたお子さんたちはきっと、鏡を通してたあちゃんたちの所にいって一緒に遊びたくなることでしょう!ひざ抱っこで読みながら遊びたい!
鏡を通してたあちゃんたちの所に行きたくても、それはかなわないので、お子さんをひざ抱っこして同じ方向で絵本を眺めながら、たあちゃんたちの世界とこちらの世界を共有しましょう! 絵本の中のみんなの楽しげな様子につられて、きっとまねしたくなるはず。生活の中で生まれ、長年伝承されてきているふれあい遊びであるわらべうたの魅力に、今までわらべうたにあまりなじみがなかったお子さんやお母さん、お父さんも、自然に引き込まれるでしょう。遊びを即実践できるよう、表紙の裏には、出てくるわらべうたの楽譜もついていますよ。楽しく遊べると心がやわらかくなる
異次元からたくさんの仲間がやってきて遊び倒すなんて、本当にすてきな展開なのですが、やはりお話には終わりがやって来ます。こんなお話の中で終わりの合図となるのは、大抵、主人公の子どもが大好きなだれかの声であることが多いのです。それも、おなかがすいてきたころに……。さよならのあいさつも、やっぱりわらべうたで! みんなは鏡の中に戻っていき、たあちゃんもご飯を食べに行ったので、部屋には誰もいなくなりましたが……。あれ? 鏡台やたんすが微笑んでいる? 思わずページをめくり返してみると、鏡台もたんすも、最初から微笑んでいたのです。心がやわらかくなると、今まで気づかなかったことにも気づくのかもしれませんね!