理研にみる「責任」「権限」バランスの欠如
今回のSTAP細胞の件で理研は、当初組織理研としてSTAP細胞の発見について発表をします。その時のメンバーは、当該研究の「責任」と「権限」の単位であるユニットリーダーとしての小保方氏、その共同研究者兼共著者の若山教授、そして小保方氏の上司であり共著者の笹井副センター長。若山教授は別組織の人間であり組織管理的観点からは、理研としては現場責任者の小保方ユニットリーダーとその上司笹井副センター長が発表事案についての全面的な「権限」を持った上で発表をしたものと映りました。「責任」ばかりが委譲された理研における分権管理
なぜこのような不自然な流れに至ったのか、すなわちこの一連の流れを組織管理的にどう見るかです。当初の発表段階では一見「権限」を与えているかのように思えたものの、その実は現場リーダー本人の同意なくかつ本人の同席もさせずに「責任」だけを負わせる会見を開いたことから、理研の分権管理は先に述べた「権限」を与えずに「責任」のみを負わせる不条理な分権管理であったと言えるのです。組織と個人が入り乱れて統制が取れない異常な事態は、すべて理研の不条理な管理にあると断言できます。
このように理研を組織管理の「責任」と「権限」の関係から考えるなら、「責任」ばかりを負わせるこの管理を続けていくことは必ずや組織のモラールダウンを及ぼすことになると思われます。研究者の世界は一般組織と同一には語れないという意見もあろうかと思いますが、理研が独立行政法人である以上、上記のような「責任」と「権限」における組織マネジメントの基本は守られてしかるべきであり、それを否定するのであれば独立行政法人と言う組織形態そのものの見直し議論が必要になるでしょう。