分権組織管理における「責任」と「権限」セット委譲の原則
今回は組織マネジメントにおける具体的な運営上の根幹を握る「責任と権限」のあり方について、今STAP細胞の一件で世間の話題を集めている、理研の組織管理も例にとりながら考えてみましょう。「責任」と「権限」の委譲は常にセットで考える
一般にトップが管理を任せる場合、分権責任者に対して業務における一定のスパン内(同時に金額や業務が及ぶ期間等で決裁制限を付けるのが一般的)での決定「権限」とその実行に伴う有限「責任」を負わせることになります。これらは通常、各部門の管理スパンが「業務分掌」という形で、その決裁金額限度や限度期間などは「決裁権限」という形で規定され、それぞれは「業務分掌規定」「決裁権限規定」として明文化されます。
やや余談ですがここで重要なことは、このような分権管理化によって「権限」は委譲されるものの、トップの「責任」がなくなるわけではないという事です。トップには、部下たる管理者が自己の「権限」内で犯したミスに関しても、トップとしての管理責任あるいは「権限」委譲に伴う任命「責任」という形で、より高い立場でのより重い「責任」が負わされるのです。企業における不祥事発生等の際に、必ずと言っていいほど、当該事業の責任者への「責任」追及だけでなくトップの「責任」の所在を明確にするべくその進退が問われるのは、分権管理組織における「責任」のピラミッドが存在するが故のことなのです。
以上の考え方に則って、STAP細胞騒動に揺れる理化学研究所(以下理研)一連の組織運営を見てみましょう。理研は橋本行革の流れにより2003年に従来の特殊法人から独立行政法人に改組されています。特殊法人が特定の法律により政府が経営に介入しているのに対して、独立行政法人は独立の名の通り、政府の監督下にはありながらも組織運営自体は民間企業と変わらない存在です。従って、分権管理における「責任」と「権限」の委譲は上記の考え方に沿っておこなわれるべき環境にあることを大前提として、以下見てみます。