同じような間取りなのだから、どの住戸を選んでも居住性はあまり変わりはないのでは?というと、そうではありません。住棟の端に位置する妻側住戸(つまがわじゅうこ)は他の住戸に比べ、居住性が優れるケースがほとんどです。
妻側(つまがわ)住戸の位置は?なぜ妻側というのか
木造在来工法の住宅では、屋根の最も高い所を棟(むね)といい、棟に平行な面を平側(ひらがわ)、棟に直角な面を妻側(つまがわ)といいます(【図1】参照)。【図1】平側と妻側
この位置にある住戸を角部屋(かどべや)とも言いますが、角部屋というとタワーマンションなど正方形に近い形、スター型など複雑な形の、とにかく端の住戸のイメージが強く、基本的に長方形の外廊下型マンションの端の住戸には「妻側」という方がしっくりきます。
妻側住戸のメリット・デメリット
妻側住戸は、いわゆる角部屋なので3方が外気に面しており、その他の中住戸に比べ通風・採光が取りやすく、間取りの自由度が高くなります。またバルコニーを広めに取れたり、ルーフバルコニーがついている間取りもあります。一方デメリットとしては、住戸の3方の壁が外気に面しているため、室内の暖冷房が外部に逃げる率が高く、中住戸より光熱費がかかること。妻住戸を選ぶなら、断熱性能がしっかりしていることを確認しましょう。
妻側住戸の通風・採光条件のよい間取り例
こちらは外廊下型マンションの妻側住戸の間取り例です(「マンションの間取り研究(3)風通しのよい間取り」より)。この図では南、西、北側の3方が開放されているため、窓が多くとれ、通風・採光条件が他住戸より良くなっています。バルコニーも南、西、東の3面に取れています。【図2】一般的な外廊下型マンションの妻側住戸の間取り例
また、妻側住戸だからこそ人気のある横長リビング、3LDKの間取りが可能となっています。【図2】の間取りがもし妻側住戸でなく中住戸であれば、個室を3つ確保するのは難しいでしょう。
スター型マンションの間取り例
スター型とはもともと公団などによって建てられた、上からみるとY型をしている集合住宅のことです。公団による供給は終了していますが、最近になって、超高層大規模マンションでこのカタチが採用されるようになりました。超高層マンションでは公団のそれに比べ規模が大きく、3つの棟がY型につながっているというイメージです。【図3】は、スター型マンションの端に位置する住戸の間取り例です。
スター型マンションの角住戸ということもあり、かなり特殊な形をしています。角住戸のメリットとして南に面する辺が非常に長く、採光条件はかなり良さそうです。但し、このように南面の窓が多い場合は、真夏の日射対策、真冬の断熱対策が重要です。窓の上部の庇形状や窓ガラスの性能には注意したほうがよいでしょう。
建物の端に位置する妻側住戸は、例え同じ間取りだとしても、他住戸に比べ販売価格が高くなる傾向があります。通風・採光に優れ、間取りのバラエティに富んでいるため、人気があります。
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