G1レースの連続！　5月の注目レース(2ページ目)

外国産馬の戦いから、真の短距離ダービーへ
「NHKマイルカップ」

日本ダービーは、3歳馬の戦いにおける「長距離路線」。一方で、もっと短い距離のレースが得意な馬たちは、5月に行なわれるもう一つの3歳G1、NHKマイルカップ(芝1600m、東京競馬場)へと向かいます。まさに、ダービーの短距離版といっていいでしょう。

このレースは、時代の中で意味合いが少し変わったG1でもあります。NHKマイルカップが創設された1996年当時は、海外で生まれ日本に輸入された「外国産馬」の強さが絶大でした。なぜなら日本は、ヨーロッパやアメリカに遅れて競馬を始めた国。そのため、競馬の歴史が長い国で生まれたサラブレッドの方が、活躍するケースが多かったのです。

外国産馬がそれほど活躍するなら、海外から馬を買ってダービーを目指そうと考える馬主は多くなります。そうなれば、内国産のサラブレッドは進化しません。そこで日本では、長い間、外国産馬は日本ダービーを含めた特定のG1レースに出走できないというルールがありました。

日本ダービーに出られない3歳の外国産馬。その馬たちの目標になったのが、新設のNHKマイルカップです。つまりこのレースは、「外国産馬のダービー」という位置付けにもなりました。実際、創設から6年間は、すべて外国産馬が優勝しています。

しかし、それから日本のサラブレッド生産は飛躍的に進歩。今では内国産の競走馬の方が活躍するようになりました。NHKマイルカップも内国産馬の活躍は顕著で、今では「外国産馬のダービー」という雰囲気は消え、「短距離版のダービー」として確立されています。

2013年のNHKマイルカップ

なお、外国産馬の日本ダービーへの出走についても、2001年より認められています。しかし、2013年まででダービーを制した外国産馬はいません。

マラソンレースで堪能する競馬のおもしろさ
「天皇賞・春」

3歳ではなく、4歳以上のオトナ馬(※古馬とよばれます)によるレースも見逃せません。4月下旬から5月上旬にかけて行われる、G1天皇賞・春(芝3200m、京都競馬場)がその筆頭。こちらは、障害レースを除いたJRAのG1で最長距離のレースです。

昔から「競馬の花形」とされてきたのは、ダービーなどが行われる2400m付近のレース。それから800m伸びた天皇賞・春は、さらにタフな戦いとなるため、とにかくごまかしがききません。また、無尽蔵のスタミナを誇る長距離のスペシャリストが台頭する場面も見られます。

このレースの最大の見どころは、道中の駆け引き。2400mなら2分30秒弱でレースが終わるところを、天皇賞・春なら3分20秒弱の戦い。たった50秒ですが、されど50秒。その中で起こる騎手の駆け引きや、各馬のポジション取りをじっくり見られます。

また個人的には、天皇賞・春こそアナウンサーの真骨頂だと思っています。レースの流れや各馬の駆け引き、それらを存分に伝えられる長距離戦だからこそ、心に残る実況が聞けるレースでもあります。

最強馬が威厳を見せるのか。それとも、スペシャリストが持久力で逆転するのか。さらには騎手たちが行う緻密な駆け引き。そしてそれを伝えるアナウンサーの手腕。これらが凝縮されるのが、天皇賞・春なのです。

2013年の天皇賞・春

そのほか5月は、4歳以上の牝馬が争うG1ヴィクトリアマイル(芝1600m、東京競馬場)も行われます。春の日差しの中で競馬を観戦するのは最高の気分。ぜひとも競馬場にお出かけください！

※レースの情報は、すべて2014年4月末時点のものです。

(リンク)
5月のレーシングカレンダー｜JRAウェブサイト
東京優駿(日本ダービー)　歴代勝ち馬｜JRAウェブサイト｜データファイル
NHKマイルカップ　歴代勝ち馬｜JRAウェブサイト｜データファイル
天皇賞・春　歴代勝ち馬｜JRAウェブサイト｜データファイル