サラブレッドは、春の花粉に苦しまない?

馬も花粉症にかかっていたら、鼻がグジュグジュしてレースどころではないはず…
それは良いとして、問題はそのあと。友人は続けてこんなことを聞いてきました。「そういえば、馬って花粉症にならないの?」。恥ずかしながら私、競馬をずっと見ていながらも、今までそういう疑問を抱いたことがありません。自分が花粉症にならないからかもしれません。
その場で友人の疑問に答えようかとも思いましたが、間違いがあったらマズイ。ここはやはり、専門家にきちんとした見解を聞きたいところです。
ということで今回は、JRA競走馬総合研究所の方にこの疑問を投げかけてみることにしたのです。
花粉症の影響はほとんどないけど……
JRA競走馬総合研究所とは、その名の通り、競走馬の生態を研究する専門機関。今回お答えいただいた同研究所の太田稔さんは、馬の花粉症についてこんな見解を示しました。「馬の花粉症について研究している人や、それに関する論文はほとんどありません。そのため分からない部分は多いのですが、現場で馬を見たり研究したりする中では、人がなるようなレベルの花粉症に馬がかかることはないと思います」
太田さんによれば、「春先になって馬がかゆそうな仕草をしたり、くしゃみをしたりというシーンは、あまり見たことがない」とのこと。人間のように「鼻水が出て仕事にならない……」なんて事態は、馬には見られないようです。
実際、私たちが競馬を見ていても、馬の花粉症を気にすることはありません。つらそうにしている馬はいませんし、関わっているスタッフの人からもそういう話を聞いたことがありません。競馬のレースにおいて、花粉症の影響はほとんどないといえるでしょう。だからこそ、あまり研究する人がいないという面もあるのかもしれません。
とはいえ、太田さんによれば、馬にもアレルギーはあるようです。
「虫刺されや食べ物によるアレルギー、あるいは薬のアレルギーを持つ馬はいます。人と同じように、皮膚にじんましんが出たり、汗をかいたりという反応が出ますね。ただし、人と比べて馬などの動物は、アレルギーになりにくい傾向にあります。ですから、花粉に対してもそれほど反応しないのだと思います」
馬にも人にもアレルギーはありますが、その過敏さには差がある様子。そもそも馬は草食動物ですから、花粉に対して過剰なアレルギーを持っていたら、草を食べるときに大変ですもんね。
花粉症については、馬と人で事情が異なる模様。ですが、人間におなじみの病気の中には、馬も同様にかかるものがあるようです。次ページで紹介します。