毎月、先月発表されたニュースの中から今後の動向が気になるトピックスを厳選してお届け。今回は2014年2、3月分です。
【今回注目したニュースはこれ!】
■どうなる?!政府が「准保育士」制度検討で賛否両論
■職業能力の新たな「ものさし」?業界検定って何?
どうなる?!政府が「准保育士」制度検討で賛否両論
安倍政権の目玉政策の一つである、女性の社会進出の推進。その一環として急務と言われているのが、膨れ上がる待機児童対策です。実際には、いくら新しい保育所をつくっても、保育士の人員不足が深刻という現状の中、政府は保育士不足を補うための手段として「准保育士」制度創設の検討を始めました。
これは、政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)が3月14日に開いた「雇用・人材」の分科会で提案されたもので、6月にもまとめられる女性の活躍を推進する政策の提言に盛り込まれるか、そのなりゆきが注目されます。
「准保育士」は、国家資格である「保育士」よりもハードルを下げた試験や研修で取得できる民間資格で、主婦などの子育て経験を重視、取得後は補助として保育所で働くことが想定されていますが、実現すれば保育人材確保だけでなく、子育てを経験した女性の活躍の場を広げることにもなり一石二鳥。期待の声がある一方で、業界団体からは、「准保育士」が広がれば、保育士全体の賃金が下がりかねないとの反対意見も根強いとか。
実は、2007年にも検討された「准保育士」制度。このときは導入は見送られていますが、果たして今回はどうなるでしょうか。
職業能力の新たな「ものさし」?業界検定って何?
3月28日、厚生労働省「労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会」が報告書を発表。その中で、業界共通の「ものさし」としての職業能力評価制度の整備が提案されました。近頃政府がさかんに打ち出しているのが「ジョブ型雇用」。これは、従来の日本の「終身雇用」システムに対して、企業内での労働をその種類ごとに職務(ジョブ)として区分けし、それぞれの職務に対応する形で労働者を採用するというもの。
「ジョブ型雇用」では、職務はジョブディスクプリクション(職務記述書)によって定義されるため、当然、その職務に必要な能力やスキルも明確化されなければいけません。
そこで必要となるのが、現場で求められる実践力などの職業能力を客観的に表す基準。つまり、「企業が求める職業能力」と「働く人が持っている職業能力」を比較することができる「ものさし」です。
その全容はまだはっきりとわかっていませんが、厚生労働省ではこれに先駆け、既に今年度から、「業界検定」と呼ばれるツールを用いた「業界検定スタートアップ支援事業」に着手することが決まっており、求人ニーズの高い業種・職種から順次導入される予定です。
とはいえ、これまでにも様々な技能検定や、厚生労働省自身が平成14年度から各業種ごとに順次策定してきた、その名もズバリ「職業能力評価基準」などの「ものさし」は、既に存在しています。
それらとの棲み分けはするのかしないのか、労働市場での普及、定着はどのように行うのかなど、やるからには今度こそ(?)見切り発車ではなく進めてもらいたいものです。