ゲームの価値を生むランキング
ゲームの面白さが同じくらいだったとしても、こういうところでモチベーションが全然変わってきます(イラスト 橋本モチチ)
ディズニーツムツムであれば、そもそもメインの画面がランキングの画面なんですね。ゲームを遊ぶには「ハート」が必要で、これは遊ぶと減って、時間で回復する仕組みなんですが、友達同士でプレゼントしあうこともできます。このプレゼントをする友達を選ぶのに、ランキングに掲載されている名前を使います。
また、ハイスコアを出してランキングが1つでも上がれば名前が入れ替わる演出が入ります。誰々さんと、あなたの順位が入れ替わりましたよ、と。もちろんこの時表示される相手は友達の名前になるわけです。とにかく、ランキングを常に意識させるような設計になっています。
前述の通り、ディズニーツムツムは1,000万ダウンロードを達成して大ヒットとなっています。人気の理由には当然、スマートフォンで遊ぶパズルゲームとしてよくできているという部分があるわけですが、ここまでの急激なダウンロード数の伸びには、ランキングの仕組みを初めとしたソーシャル機能がプレイヤーを増やしている背景もあります。
おそらく、ディズニーツムツムをLINEから独立させて、単なるパズルゲームとして1人でただハイスコアを目指すゲームとしてリリースしたなら、これほどの人気にはならなかったでしょうし、プレイ体験もずっとつまらなく感じられることでしょう。
なぜなら、自分1人で遊ぶ限りは、どんなハイスコアも価値を帯びず、意味を持たず、ただただ過去の自分との戦いになるだけだからです。そんな孤独な戦いにあけくれるゲーマーもいることはいますが、多くの人が遊ぶにはあまりにストイックです。どんなゲームも、友達と競えば、グッと面白くなるものです。そういう意味で、自分の知り合いだけのランキングで抜きつ抜かれつするのが面白くないわけがありません。
LINEという強いコミュニティがあり、それを取り込んでいるから価値が生まれている、と言ってしまえばそれまでではありますが、注目すべきはその手法ですよね。ランキングによってスコアに意味を持たせ、ゲームに強い価値を生むLINEの仕組みは、お手本として学ぶところが多いように思います。
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