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開発進む日本橋地区を探訪

平成26年3月18日発表の平成26年地価公示によれば、3大都市圏の地価は6年ぶりにプラスに。東京圏では、都心部の地価上昇が顕著で、東京五輪でも注目される中央区は、住宅地・商業地の対前年変動率の伸びが東京圏でトップの8.7%、4.7%です。日本橋の再開発を探訪し、中央区の今を紹介します。

岡本 郁雄

執筆者:岡本 郁雄

マンショントレンド情報ガイド

東京五輪効果もあり変動率の伸びがトップの中央区
日本橋界隈で複数の開発プロジェクトが進行中

「三越前」駅上の街並み

「三越前」駅上の街並み。新たな商業ビルが建ち並び街の風情も一新

平成26年地価公示において、東京圏トップの上昇率となった東京都中央区。東京五輪の開催決定もあり中でも湾岸エリアの月島や勝どきといったエリアなどに注目が集まっています。

この中央区の中で、近年開発が進み街が大きく生まれ変わっているのが日本橋地区です。もともと、江戸幕府によって五街道の起点となった日本橋。1600年代につくられた歴史のある街でもあり、老舗企業が多いのもこの地区の特徴です。
日本橋三越本店の新館

日本橋三越本店の新館 江戸時代からこの地で開業

中央区では、高度経済成長の中で郊外への人口流出が進み定住者も減っていましたが、平成10年ごろから人口増に転じました。ライフスタイルの変化とともに都心居住が人気に。商業系の立地が多く、マンションが建ちやすい法規制も開発を後押ししました。2000年から2010年にかけての世帯数増加率は、192.4%で首都圏でトップの数値になっています。日本橋地区もその例にもれず、日本橋人形町などは多くのマンションが建設され、売行きも好調です。

日本橋地区の開発で目をひくのが三井不動産グループによる再開発です。2004年の日本橋一丁目ビルディング(コレド日本橋)をはじめ2005年にマンダリンオリエンタル東京も入る日本橋三井タワーをオープン。2010年には室町東日本橋三井ビルディングを開業しました。同地区には、日本橋高島屋や日本橋三越本店本館など老舗の店舗もあります。同社では、こうした歴史的建造物や伝統ある老舗、街の文化を残しつつかつての賑わいや街の景観を蘇らせつつ新たな街の魅力を創ることを計画の柱にしています。

「COREDO室町2」「COREDO室町3」が3月20日にオープン
秋には「福徳神社」が完成予定

三井不動産が他の地権者と共同で進めてきた「日本橋室町東地区開発計画」。この2月に「室町古河三井ビルディング」と「室町ちばぎん三井ビルディング」が竣工しました。低層部には、商業施設「COREDO室町2」「COREDO室町3」が入り3月20日にオープン。「COREDO室町」のリニューアルもあり既に多くの人で賑わっています。
「COREDO室町2」「COREDO室町3」

「COREDO室町2」「COREDO室町3」が3月20日にオープンした

「室町古河三井ビルディング」は、シネコンも入店。低層部に「ロッジア」といわれる西洋の古典劇場で見られる回廊を設けています。「室町ちばぎん三井ビルディング」は、三井本館などとの調和をはかった外観に。統一感のある街並みを形成しています。
室町東三井ビルディングと室町古河三井ビルディングの間の仲通り

室町東三井ビルディングと室町古河三井ビルディングの間の仲通り。秋に竣工予定の福徳神社の参道となる

賑わいある通りづくりにも工夫があります。日本橋三井タワーや日本橋三越本店本館のある中央通りにはオープンカフェをオープン。老舗店舗も加わりさらに魅力を高めます。
仲通り

室町東三井ビルディングと室町古河三井ビルディングの間の仲通り。老舗の店舗が沿道に入る

江戸さくら通りは、通り沿いのサッシを開放しオープン化。COREDO室町とCOREDO室町2の間に位置する仲通りには石畳を敷きこの秋竣工予定の福徳神社の参道としての雰囲気を漂わせています。仲通りには行燈照明も設けられています。
老舗和菓子店「鶴屋吉信」の菓子細工のディスプレイ

COREDO室町3の1階にオープンした京都の老舗和菓子店「鶴屋吉信」の菓子細工のディスプレイ。創業200年を超える

COREO室町2、COREDO室町3のオープンに合わせてCOREDO室町や日本橋三井タワーもリニューアル。多彩なテナントが出店する中目立つのが老舗店舗の出店。京都の老舗和菓子屋「鶴屋吉信」や文化2年(1805年)創業のくず餅で有名な船橋屋など創業200年を超えるお店も。ソフト面でも魅力的です。

また、これからのグローバル化を見据えて外国人向けの情報発信の場も設けています。COREDO室町の地下1階には外国人向けサービスや日本橋地域の情報発信をする「日本橋案内所」を増床オープンしています。英語対応スタッフが街の案内を行う「日本橋コンシェルジュ」が来街者を迎えます。無料のWi-Fiも設置されカフェも併設されます。

再開発に伴ない1100年以上前から日本橋室町地域の稲荷として親しまれてきた「福徳神社」が再生されます。拝殿を建替えるだけでなく、地下1階に駐輪場やミニバイク置場、地下2階には水や食料等の防災用備蓄倉庫がつくられます。こうした防災機能は街全体で強化されています。

日本橋駅周辺でもビルの建設が進む
オフィス機能が集積するゾーンに

三越前駅から日本橋駅へ向かうとさらに多くの工事現場が見えます。さらに計画されている再開発プロジェクトもあり街の再生が大きく進みそうです。これだけ開発計画が多い背景としては、地域全体が高度利用しやすい商業地域であり、街の歴史が古く建替えが必要な建物が多いことも理由でしょう。
COREDO日本橋

日本橋駅界隈では、建設現場が目立つ。左は、COREDO日本橋

八重洲や大手町といったオフィスゾーンに近く、業務スペースの集積化のニーズが高いことも大規模開発が増える要因です。中央区は、2000年から2005年にかけての就業人口増加率は、169.3%。東京23区で1位です。こうした就業機会の増加は、少なからずマンションニーズの高まりにも影響を及ぼしています。

月島や豊洲、勝どきなどは、大手町や八重洲、有楽町などのオフィスゾーンへのアクセスが良く、売行きが堅調なのも職住接近のニーズの増加が考えられます。このエリアへのアクセスの良し悪しは将来の街の魅力の一つの要素ですので、マンション選びの一つのモノサシとして考えるのも一考だと思います。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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