不眠・睡眠障害/その他の睡眠障害

スマホは危険!? ブルーライトの睡眠への影響と対策

パソコンやスマートフォンの画面からは、多くの青い光「ブルーライト」が出ています。毎日たくさんのブルーライトを浴びることは、睡眠の質を悪くする原因にもなります。ここでは、ブルーライトの睡眠に対する影響と、ブルーライト軽減の方法についてご紹介します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

パソコン、スマホ……身近にあふれるブルーライト

ブルーライト

パソコンなどの画面から、ブルーライトがたくさん出ています

太陽の光は白く見えますが、水滴のプリズム効果で色が分かれると、七色の虹が現れます。その中で青い色の光は、「ブルーライト」と呼ばれています

ブルーライトは、白色の光の中にも含まれています。これまでのブラウン管テレビからは、あまりたくさん出ていませんでした。しかし、薄型テレビからは、たくさんのブルートライトが出ています。

また、パソコンやスマートフォンからも、多くのブルーライトが出ています。これらの画面では、白く見えるところも、青と黄色を合成して白くしているからです。蛍光灯や白熱灯に比べて、LED照明からもブルーライトがたくさん出ています。

最近の調査によると、20歳代~50歳代のビジネス・パーソンは、1日平均11時間以上もパソコンやスマートフォンなどの画面を見つめています。画面から出るブルーライトの影響で、9割以上の人が目の疲れを感じ、多くの人が睡眠について悩んでいることも分かりました。

ブルーライトによる目の病気

眼

ブルーライトを見過ぎると、視力を失うこともあります

ブルーライトは、目に見える光の中で一番エネルギーが強いので、体に対していろいろな影響を与えます。

最も大きいのは、目への影響です。ブルーライトは目の角膜や水晶体を素通りして、網膜に直接届きます。特に、網膜の中心にある「黄斑」がダメージを受けると、「加齢黄斑変性」を起こします。加齢黄斑変性は、進行すると失明する病気で、日本でも最近、急速に患者さんが増えています。

また、ブルーライトは散乱しやすいので、まぶしさやちらつきを感じたり、ピントを合わせにくい光です。ブルーライトを見ると私たちは、無意識のうちに目を酷使して、いわゆる疲れ目と呼ばれる眼精疲労や、目の痛みを起こしやすくなります。

そのため、厚生労働省のガイドラインでは、1時間のVDT(デジタルディスプレイ機器)作業を行ったときには、15分程度の休憩をとることが勧められています。

ブルーライトの身体への影響

そしてブルーライトは、目だけではなく、体全体にも影響をおよぼします。

夕方から夜にかけて、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが脳の中で増えていきます。このメラトニンの働きで眠くなるのですが、500ルクス以上の明るい光を浴びると、メラトニンが減ってしまします。

ブルーライトは、他の色に比べてメラトニンを減らす力が強いので、特に注意が必要です。眠る直前までパソコンやモバイル、スマートフォン、薄型テレビを見ている人は、それらの画面から出るブルーライトがメラトニンを減らして、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。

他にもブルーライトは、肥満やがん、精神状態との関係も疑われています。

専用メガネやフィルムでブルーライトをカット

メガネ

ブルーライトをカットするメガネが、いろいろあります

科学技術の発達により、身の回りに増えたブルーライト。その影響を減らすためには、どうしたらよいのでしょうか?

睡眠の質を悪くしないためにもっとも良いことは、眠る前の1時間はディスプレイ画面を見ないことです。パソコンやスマートフォンを扱う時間を、夜から朝に変えれば、目覚めも良くなって一石二鳥です。

どうしても夜にデイスプレイを見なければいけないのなら、ブルーライトをカットするメガネやシートを使いましょう。

素通しのメガネをしてスマートフォンを操作すると、寝つきが悪く、朝起きるのがつらく疲れが残り、目の下にクマができやすくなります。しかし、ブルーライトを減らすメガネをかけると、質の良い睡眠が長続きし、翌朝目覚めた後もスムーズに活動を始められます。

ディスプレイの画面に貼るシートやフィルムも同じように、ブルーライトを防いでくれます。


【関連サイト】
ブルーライトの睡眠障害への影響とは?
ブルーライト研究会
ブルーライトから眼を守れ!気になる保護グッズ7選
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