たくさんの二世帯リフォームの現場に携わってきました。ガイドYuu自身も同居生活の経験者です。最近、少子化対策の一環として、三世代同居を国をあげて推進していることもあり、取材を受けることが多いのですが、皆さん口をそろえておっしゃるのが、理想の間取りを教えて欲しいというものです。

二世帯の理想の間取り論は時代遅れ?

快適な間取り

二世帯の理想の間取りは、とにかく分けることが第一義と言われてきた。

二世帯住宅の理想の間取りについて考えてみましょう。基本的に親世帯と子世帯は世代が違うので、生活スタイルが異なります。生活時間帯もズレるため、お互いに遠慮なく暮らすためには、最低限水まわりは分けたほうがいいでしょう。

と、言われてきました。確かに浴室は個人の清潔感が日々の使い勝手を支配し、キッチンは女の城と言われたようにテリトリー争いが起きやすい場所です。嫁姑が摩擦を起こしやすいスペースは分離する、家をどう分けるかが二世帯リフォームの間取りを考える基本でした。

しかし実際に多くの現場に携わってきて思うのは、このような理想の間取り論は既に形骸化していて、時代と合わない部分が出てきているということです。

 

これまでの二世帯のイメージがあてはまらないケースが増えている

親世代のライフサイクル

今のシニアは元気で余裕があるケースも多い。共働きで子育て中の忙しい子世帯から同居を望むケースが増えている。

最近、私が相談を受けた二世帯リフォームの事例です。共働きで忙しく、子育てと家事を両立できない、できれば家事は親世帯に任せたいという子世帯がいました。

逆に、高齢化で家事に不安を感じるようになり、できれば子世帯に任せたいという親世帯もいました。

その他、高齢の男親との同居にあたり、子世帯は家事の手間を考えて水まわりを一緒にしたいと申し出たのに対し、親側は自由に生きたいから完全に分けて欲しいと主張したケースもありました。

今や働く女性が増え、シニア層は元気に飛びまわり、同居を言いだすのは子世帯からが多いという統計結果が出ている時代です。暮らし方は多様化し、今までよく言われてきたことがあてはまらないケースが増えてきていることを実感しています。

 

三世代同居、二世帯住宅で暮らすタレントのY子さんの場合

子世代のライフスタイル

時間が不規則で忙しいタレント業のY子さんは自分から三世帯同居を望んだ。

以前、テレビ番組でご一緒した二世帯住宅で暮らすベテランのタレントY子さんに、三世代同居事情をお伺いしたことがあります。

超多忙な彼女は、家事は全てお姑さんにやってもらい、水まわりは全て共有とのこと。「お蔭でラクでラクで。仕事に集中できるし、子どもも安心して任せられる」と笑顔で語っていました。

ただし、雑巾とタオルを一緒に洗濯されようと、食事のメニューが年寄り向けが多かろうと一切気にしないことが大事とも言っていました。ちなみにY子さんは、ご自分から親世帯との同居を望んだとおっしゃっていました。

最近よく聞くのが、このように孫の面倒を親世帯と子世帯で共同で見つつ、子世帯が共働きをするという生活スタイルです。「孫育」という言葉が当たり前のように使われる時代です。戦後、全てが一緒の大家族な暮らしから、完全に分離する核家族な暮らしへと変化し、そして今またお互いを尊重した上で助け合う新しい形へと変化していると感じます。

 

ガイドYuuが住んでいた二世帯住宅はキッチンだけが別だった

プライバシー

好きな時に好きなものを食べるためにキッチンを取り付けるリフォームをした。

ガイドYuuが二世帯住宅に住んでいた時は、キッチンは親世帯とは完全に別、お風呂は共有でした。食いしん坊で食事の時間が不規則な私は、好きな時に好きなものを食べたい、そのためには絶対にキッチンだけは別でないと困る!という単純な理由でした。

それまで普通の一世帯住宅だった木造二階建ての家をリフォームしたのですが、それほど広くない子世帯スペースに、小さなキッチンを無理やりといっていいほど詰め込みました。

狭い我が家でしたが、食事の時間とメニューを自分でコントロールできるのでストレスがたまることなく、また忙しい毎日の家事を楽にするために、当時はまだ珍しかった食器洗い機を導入しました。

お風呂は親世帯と共有でしたが、仕事に忙殺されていた私がするより、はるかにていねいに掃除がされていて、楽に暮らすことができました。一般的に見れば、理想の間取りとはほど遠い二世帯住宅でしたが、私の生活スタイルや性格にはぴったり合っていたのです。

 

大事なことは、理想の間取りにたどり着くためのプロセスにある

ライフスタイルの融合

二世帯同居の目的も生活スタイルも多様化し、画一的な間取りでは、対応できない時代に。

同居する目的は多様化しています。生活スタイルも昔とはだいぶ変わりました。

何のために一緒に住むのか、夫婦どちらの親となのか、それぞれの生活スタイルや考え方、性格によっても理想の間取りは異なります。こうすれば大丈夫!というような画一的なものでは対応できない時代です。

では、快適に暮らせる二世帯住宅にするにはどうしたらいいのか?我が家にとっての理想の間取りを見つけるために大事なことは、そこにたどり着くまでのプロセスにあります。

リフォームの現場では、このプロセスでつまずいている人が多いように感じます。例えばよく聞くセリフに、「家族全員でじっくり話し合いました」というものがありますが、実は本音が言えていない、言えても受け入れられなかったというケースは少なくありません。

 

二世帯の打ち合わせ、1人の時と全員の時では言うことが違う

清潔感の違い

洗濯機を別にしたい、これだけのことがなかなか言えない人がいた。

私が二世帯リフォームの相談を受ける時は、「第三者提案方式」と名付けたスタイルをとっています。これは、まずひとりひとり個別にヒアリングを行い、その後専門家からプランを提案するという手法です。

というのも、今まで相談を受けてきて気付いたのが、家族全員で話し合っている時と、個別に相談を受けている時で、言っていることが全く違うことがあることです。

例えば、洗濯機を別にしたい、これだけのことがなかなか言えない人がいました。一緒に洗濯するのが嫌だと思われそうで怖かったからだそうです。その後、打ち合わせで思い切って言ってみたのですが、別に1つでいいじゃない、それよりその分でリビングを広くしよう、そう言われるとそれ以上言えませんでした。

また寝室に鍵を付けたいと望んだ子世帯の妻がいました。しかしそれは夫の「水くさい、親が信用できないのか」と言う言葉によって実現しませんでした。夫婦でも意見が違うことが往々にしてあるのが、二世帯リフォームの打ち合わせの特徴でもあるのです。

 

理想の二世帯の間取りにたどり着くために始めること

個室の確保

寝室に鍵を付けたい、防音したいという願いを言いにくいという人も。

全員の前では言いにくいこともあります。ましてや相手の親が絡んだこととなると、本音はなかなか言えません。でも本当はこだわりたいことがある、そんな思いがきちんと形になった時、理想の二世帯の間取りが見えてくることと思います。

以前、寝室を防音したいという人がいました。でもみんなの前では言えない。そう相談を受けた私は、イマドキは寝室は防音するのが当たり前の時代ですと申し上げ、願いを叶えることができました。そんな風に専門家を上手に利用して欲しいのです。

こうでなくてはいけないというカタチはありません。それぞれの家族にとっての理想の間取りにたどり着くために、まずは打ち合わせ方法の工夫から始めてみて下さい。

鍵を付けることを拒んだ夫のその後の結末と、トラブルを防ぐための打合せ方法などは下記で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
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