ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

Star Talk Vol.9 花總まり、高貴なヒロインを生きる(2ページ目)

宝塚娘役時代に演じた数々のお姫様役はもちろん、日本で最初に『エリザベート』のタイトルロールを演じて以来、特に高貴なヒロイン役では右に出る者がないと言われる女優、花總まりさん。4月に世界初演される『レディ・ベス』では、16世紀に英国の黄金時代を築いたエリザベス1世の若き日を演じます。稽古も佳境に入った花總さんに、新たな持ち役の手応えをうかがいました。*観劇レポートを追記しました!*

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド


高難度の楽曲と格闘

――どんな音楽ですか?

「役によって少しずつ印象が違って、バラエティに富んでいます。(姉の)メアリーはちょっとロックぽく、シャウトするような歌だったり、(その夫である)フェリぺも一風変わった感じの歌だったり。エリザベスについては、いかにもミュージカルという感じの(歌い上げる)曲が中心ですね。リーヴァイさんの音楽は『エリザベート』以来で久しぶりですが、難しいです。宝塚版の『エリザベート』では、裏声が多かったり、デュエットでもキーが高かったりしましたが、今回、男性も交えた中で歌わせていただくと、『エリザベート』の時より低い音が出てきて、音域がとても広いので、なかなか大変です。『エリザベート』は『私だけに』というナンバーの最後の一音はとても高い音ですが、それを除けば、今回の方が広いんじゃないかなと思います。

今、自分の歌の課題としては、高音でも音の響きの芯を作ること。低い声と印象の変わらない声が出せるよう、一生懸命練習しています」

――『モンテ・クリスト伯』では、地声をかなりの高音まで引っ張る歌唱に挑んでいらっしゃいましたね。
『モンテ・クリスト伯』メルセデス役undefined写真提供:東宝演劇宣伝部

『モンテ・クリスト伯』メルセデス役 写真提供:東宝演劇宣伝部

「今回はもっと高音域なんです。感情的には全部地声で出したいところなのですが、高音が続いている曲も多くて。一回公演なら歌えても、長丁場の公演となると大丈夫かなと思いますので、力任せ、感情任せでない歌唱法でも感情が伝わるような声の使い方を見つけて、自分の中で安定させたいなと思っています。小池先生の歌詞も(音符に)すごく細かく乗っているので、メロディラインを失わずに歌詞も伝えるというのはなかなか難しかったりしますが、頑張っています」

――『エリザベート』の経験が生きていますか?

「生きてくると思います。今はまだ必死なのですが、一人の、位のある、難しい状況の中で成長していくヒロインが軸になって時が流れていくミュージカルという点では共通していると思います。歌いながら気持ちを伝えていく部分でも同じですし。今はまだ苦しんでいる状況ですが、試行錯誤していくうちに、エリザベスが自分の体にぴたっとはまれば、やりがいのある、大好きな役になるかと思います」

――どんな舞台にしていきたいですか?

「『レディ・ベス』は本当にスケールの大きな作品です。登場人物も多く、思っていたより難しい話ではありません。その中でうまく自分の役割を果たせたら、すごく面白い舞台になるのではと思います。今回が世界初演なので、私たちが頑張れば後々再演されるようになるかもしれません。大切な初演なので、公演が始まってから完成させるのではなく、最初から形になっている舞台を、自信をもってお届けしたいです」
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