不可抗力と人為的発生がある「危険性」のリスク
前回は、リスクマネジメントにおける
「不確実性」のリスクと
「危険性」のリスクのうち、主に「不確実性」の具体的なリスク内容と回避策について解説しました。後編の今回は、「危険性」のリスクについての解説からはじめます。
「危険性」のリスクとは、不慮の事態の発生により業務の物理的な継続に支障が出る、あるいはそれによる著しい信用力低下により通常業務の継続が困難になる、等の事態を招く状況のことを言います。ここで言う
不慮の事態には、不可抗力のよるものと人為的なものの2種類が存在します。
大雪対応も「危険性」リスクのひとつ
まず
不可抗力によるものの代表例は自然災害です。地震、大雨、大雪などの影響で、交通機関がマヒし稼働人員の確保が困難になる、停電により機械稼働が不能になる、設備そのものが崩壊し営業継続不能の事態に陥る等々が具体的なリスクとして想定されます。このような不可抗力を事前に予知しその被害を正しく想定することはほぼ不可能に近いのですが、
コンティンジェンシー・プランと呼ばれる一定の範囲で事態や被害を想定した善後策や対応策を検討することは、企業防衛上からも重要な仕事になります。東日本大震災における東京電力福島第一原発のリスク管理の甘さへの厳しい世論の指摘は、
企業の「危険性」のリスクに対する事前対峙姿勢が問われているものと言っていいでしょう。
マルハニチロ事件は人為的「危険性」リスクの代表例
一方、
人為的な不慮の事態には、システムダウン、情報漏えい、内部告発等々、様々なリスク顕在化のパターンが存在します。これらの人為的な不慮の事態が悪意によるものか否かにおいても企業に与えるダメージの大きさは異なってきますが、少なくとも人為的事故に対する管理体制の甘さを指摘されることは確実であり、企業としての信用の失墜、最悪は企業の存続をも揺るがしかねない深刻な状況に陥ることもあり得るのです。これらの事態に対しては、不可抗力によるものと同じく発生時における企業としての大まかな想定対応策を練っておくことは当然ですが、それと同時に
速やかに原因を究明して再発防止策とともに公表し、早期に事態を収集することが何よりも大切になります。