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人気ペレットストーブ徹底比較、国産メーカーvs欧米産おすすめはどっち?

寒い地域で普及が進む暖房器具「ペレットストーブ」。選ぶ時の参考に、ペレットストーブ先進国の欧米産ペレットストーブと国産ペレットストーブの特徴や価格、メリット・デメリットを比較してみました(初出:2014年2月/改定2018年12月)。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

国内メーカー、欧米メーカー、どっちのペレットストーブがよい?

ペレットストーブは環境に優しい再生可能エネルギーのひとつ、木質バイオマス系の木質ペレットを燃料とする暖房器具です。欧米では普及している身近な暖房器具ですが、日本での知名度はあと少しといったところ。しかし国の補助など後押しを受けて、寒い地域を中心に注目度や普及率は右肩上がりの勢いがあります。
 
「ほのか」は山形県で造られている国産のペレットストーブ

「ほのか」は山形県で造られているペレットストーブです


ところで、ペレットストーブの導入を決めていざストーブを選ぶときになったら、日本のメーカーを始め欧米メーカーのペレットストーブまで含めると様々の機種があり、どれを選んだらよいのか迷う人もいるでしょう。そこで今回は、欧米産のペレットストーブと国産のペレットストーブのメリット・デメリットをざっくり比較してみましょう。

【目次】
1.欧米メーカーのペレットストーブの特長
2.欧米メーカーのペレットストーブの価格帯
3.欧米メーカーのペレットストーブで使う燃料
4.国内メーカーのペレットストーブの現状
5.国内メーカーのペレットストーブのメリット
6.国内メーカーのペレットストーブで使う燃料
7.国内メーカーのペレットストーブの改善点
8.メーカーごとの機種を比較検討
9.欧米と国内、主なペレットストーブメーカー一覧


 

欧米メーカーのペレットストーブの特長

欧米はペレットストーブの先進国。多くのメーカーがストーブを製造しており、出荷台数も日本の比ではありません。性能もデザインも優れたものが出ています。
 
イタリアのPIAZZETTA社のペレットストーブ「LINE」。陶製の高級なマジョリカ焼きの鮮やかなカラーも魅力の一つ

イタリアのPIAZZETTA社のペレットストーブ「LINE」。陶製の高級なマジョリカ焼きの鮮やかなカラーも魅力の一つ


具体的には壊れにくく、熱効率が良いという点。そしてデザイン性が高い製品が揃っており、カラーを選べる鋼板製、陶器製、そして高級感にあふれシャープな外観の大理石製のものもあり、夏場使わないときに室内にそのまま置いておいてもおしゃれです。

 

欧米メーカーのペレットストーブの価格はやや高め

欧米のペレットストーブのデメリットは、輸入品であることもあり、国産のペレットストーブよりも価格がやや高めであることです。その中でも売れ筋は比較的手が届きやすい本体で30~40万円の価格帯のものということですが、それでも本体+煙突代+取り付け費で計50~60万円ほどかかります。
 
オーストリア RIKA(ライカ)社のペレットストーブ「TOPO」。ボディは天然石、本体価格70万円台

オーストリア RIKA(ライカ)社のペレットストーブ「TOPO」。ボディは天然石、本体価格70万円台。


また、ペレットストーブの燃料である木質ペレットには丸太の皮の部分をのぞいた「ホワイトペレット」、丸太の全てを利用した「全木ペレット」、皮の部分だけを利用した「バークペレット」などがありますが、欧米産のペレットストーブは「ホワイトペレット」を指定している機種がほとんどです。
 

欧米メーカーが使う燃料はホワイトペレット。出る灰の量は少ない、しかし単価は高い

欧米産のペレットストーブの燃料となるホワイトペレットは燃焼後に出る灰の量が少ないというメリットがあります。燃焼後に出る木灰の量は、
・ホワイトペレットは燃料重量の0.2~0.3%程度
・全木ペレットは2~3%程度
・バークペレットは5%程度 です(※1)。
 
ペレットストーブの燃料になる木質ペレットには「ホワイト」「全木」「バーク」がある

ペレットストーブの燃料になる木質ペレットには「ホワイト」「全木」「バーク」がある。


しかし、ホワイトペレットの価格は高めです。平成26年の燃料単価を参考に見ると、ホワイトペレットは1キログラム当たり57円、全木ペレットは1キログラム当たり42円となっています(※2)。
(※1)(※2)共 出典) 環境にやさしいペレットストーブ(山形県ホームページ)

 

国内メーカーのペレットストーブの現状

ペレットストーブが日本で製造されるようになったのは1990年代の後半ごろから(出典:ウィキペディア)。中小メーカーを中心に製造されるようになり、普及が進んでいます。
 
株式会社さいかい産業(本社:新潟市)のペレットストーブ「MT311 SUMIKA」(中央)

株式会社さいかい産業(本社:新潟市)のペレットストーブ「MT311 SUMIKA」(中央)


ペレットストーブ先進国の欧米のメーカーに比べ、暖かさや性能面は追従する形でしたが、最近になって燃焼効率が良くて暖かく、壊れにくいペレットストーブも出てきています。例えば日本国内メーカーの中で多くのシェアを占める株式会社さいかい産業(本社:新潟県)は、故障の原因となる細かい機能をなるべく排除し、故障が少なくメンテナンスしやすいペレットストーブを供給しています。

同社の人気機種「MT311 SUMIKA」は、日本の暮らし向きを考慮した6畳間にも設置できる超小型のペレットストーブです。

 

国内メーカーのペレットストーブのメリット。対震自動消火装置付きを

また、地震の多い日本ならではの機能として国内メーカーのペレットストーブの多くの機種で「対震自動消火装置」がついており、震度5の地震で作動し自動消火します。対震自動消火装置はJHIA(一般社団法人 日本燃焼機器検査協会)認定品についているので購入時に確認してください。一方、地震の少ない他国のメーカーのペレットストーブでこの消火装置がついていないものもあり、日本で使う場合は注意が必要です。

 

国内メーカーの燃料。全木ペレットを使用可能な機種が多い

国内メーカーのペレットストーブの最も大きな特長のひとつは「全木ペレット」を使用できる機種が多いこと。前のページで触れましたが全木ペレットはホワイトペレットより出る灰の量は多いですが、ペレットそのものの値段は安価です。燃料に全木ペレットを使用することを前提につくられているので、ストーブには灰を溜めるスペースが確保され、掃除がしやすい造りになっています。

 

国内メーカーのペレットストーブの改善点

国内メーカーのペレットストーブについて個人的な感想を述べると、暖かさや故障のしにくさは欧米メーカー品に追いついてきたものの、全体的にデザイン性はあと一歩というところ。

しかし中には株式会社山本製作所(本社:山形県)のカラーバリエーションが豊富で選ぶのが楽しい「ほのか」や、グッドデザイン賞を受賞した有限会社シモタニ(本社:岐阜県)のシンプルスタイリッシュな「コンコード・オルコット」、欧米産のようにクラシカルで重厚感のある豊実精工株式会社(本社:岐阜県)の「ペレスター」など、デザイン性に優れた機種も出てきています。
 
豊実精工株式会社(本社:岐阜県)の「ペレスター」は欧米産に引けを取らないオシャレなデザイン(写真提供:豊実精工株式会社)

豊実精工株式会社(本社:岐阜県)の「ペレスター」は欧米産に引けを取らないオシャレなデザイン(写真提供:豊実精工株式会社)

 

それぞれのメーカー、機種を比較検討しよう

燃料が環境負荷の少ない木質系ペレットであることや、2014年度の木材利用ポイント制度などをきっかけにペレットストーブの注目度が高まり、ガイドが以前住んでいた山形県ではシーズンになるとペレットストーブに関する勉強会、セミナーが数多く開催されていました。

今回は、日本メーカーと欧米メーカーのペレットストーブをざっくり比較してみました。しかし日本のメーカーならメーカーごとに、欧米のメーカーでもメーカーごとにそれぞれ特長がありますので、実際に選ぶ際にはぜひじっくりと比較検討し、ご自宅に合うものを探していただきたいと思います。
 

主なペレットストーブメーカー

■国内メーカー
株式会社 さいかい産業
株式会社 山本製作所
豊実精工株式会社
有限会社 シモタニ
株式会社 ホンマ製作所
日鋼設計株式会社

■欧米メーカー
PIAZZETTA(イタリア)
RIKA(オーストリア)
リンカル(イタリア)
ヴォトケ(ドイツ)

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【ペレットストーブのまとめ】
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