第14回厨房設備機器展出展の家庭用システムキッチンで思うこと
数多くの業務用厨房機器メーカーが新製品の提案をおこなっている中にあって、家庭用キッチンのあるべき姿について、今回気になる展示があったので問題提起したいと思う。タニコーの展示ブースデザイン
業務用ガスコンロを家庭用として使うユーザーも多く、業務用ガスコンロに求められる換気量の確保やレンジフードの形状や取り付け位置、内装制限の厳守などが守られていない現場が多いことが家庭向けに販売しない理由だそうだ。
タニコーデザインガステーブルcourant
タニコーデザインガステーブルcourant
一方、この3年間友人デザイナーとプロデューサーが参加することで、他社の展示ブースとまったく違うハイセンスな空間とサービスを提供するようになったFUJIMAKは、オープンキッチンで働くシェフたちのきびきびとした無駄の無い動きの中で提供される心づくしのプレートなどを含めたトータルデザイン、エンタテイメント、アメニティ、ホスピタリティなどの大切さをまざまざと見せてくれたことはとても嬉しいことだ。
FUJIMAKブースのデザイン
FUJIMAKのデモンストレーションキッチン
FUJIMAKのセントラルキッチン
FUJIMAKの調理実演
FUJIMAKのおもてなしプレート
FUJIMAK VarioCookingCenterの実演
FUJIMAK VarioCookingCenterの実演
このクックトップは本国では家庭用と販売されていて一口のバーナーが6kWとハイカロリーである。一口の火力が5.8kW以上のため、ガス事業法上のガス用品「ガスこんろ」※1には属さないため、「業務用」の表示をする必要がないが、安全性に配慮して「業務用」の表示を行い販売しているようだ。
今回はモデル展示のため、業務用コンロを家庭用システムキッチンに組み込んでいるとのことだった。
法令化によって、このような洗練されたデザインと機能のガスクックトップやガスレンジの輸入販売が日本国内でできなくなったことは本当に残念である(現在ツナシマ商事が唯一アメリカVIKING社のセンサー付き4口ガスクックトップを販売している)。安全性に配慮したうえで、デザイン性の高いコンロが国内でも普及するよう規制が緩和されることを期待したい。
※1「ガス事業法施行令及び液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成20年政令第4883号)」
FUJIMAKの家庭用システムキッチン
FUJIMAKの家庭用システムキッチンに組込まれたGaggenauクックトップ
今回、タニコーの「業務用コンロを家庭向けシステムキッチン向けに販売しない」という企業姿勢は高く評価したいし、FUJIMAKの「業務用シールを貼ったGaggenauコンロを組込んだ家庭用システムキッチン」に対しては今後どのように対応するのか注意深く見守りたいと思う。
センサー付きのガスコンロは調理しづらいために業務用コンロを家庭で採用したいという強いニーズにどのように答えるべきなのかキッチンの設計者やオーダーキッチンメーカーの姿勢が問われる大きな課題となっているのが実態です。そろそろ公的機関の明確な判断が示される時期が来ているように思われます。
現在、経産省からは「ガスコンロの規制について」詳細に記載されていますから、業務用コンロを家庭で使用する場合の業務用換気フードや内装制限を厳守した上で活用されることを望みます。
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