自慢のコースは手の込んだアミューズから
あえてタルタルにして食感を楽しめるようにした帆立に、シェフ一押しのベルギー産キャビアで程よい塩分が加えられています。柚子の香りも爽やかで、アミューズから和食材の取り入れ方が巧みです。
旬の下仁田ネギを丸ごと少量のコンソメと共に約70度で4~5時間かけて真空調理したもの。その下仁田ネギの上にリードヴォーや黒トリュフを重ね、ソースの海に浮いている姿はまるでデザートのようにも見えます。ネギの甘さがリードヴォーの旨味をまろやかにし、黒トリュフの香りを纏うととても深い味わいになっていて、存在感のある一皿でした。
牛乳を練り込んだ柔らかなパンと香ばしいライ麦パンは、どちらも自家製です。小ぶりなので、食べ終わるとすぐにおかわりを出して下さいます。常に温かいパンを食べられるようにしているところにもシェフの“心づかい”が感じられました。
見慣れているラヴィオリとは全く違うビジュアルに驚きました。牡蠣が広島産の大粒タイプなので、その大きさに負けないようにラヴィオリも厚みがあり大きな生地でしっかりと包まれていたのです。
上にはバターソテーしたキャベツで甘みが添えられ、マッシュルームの泡が旨みをプラスし、冬の味覚が満喫出来ました。
ボンボンはジャガイモの衣で覆い香ばしく、テリーヌはリンゴのコンフィチュールや青りんごのグラニースミスで濃厚な味のテリーヌに程よい酸味と爽やかさをプラス。ムースには、スパイスを使った焼き菓子「パンデピス」を添えてコクを出した3つが並んだ贅沢な一皿です。
ビジュアルだけでなく、食感、味付け、濃度の違いを楽しめ、思わずワインがすすんでしまいます。ちなみにこのお料理に合わせていたワインは赤のフルボディでした。