絵本/絵本関連情報

まるで煌めく言葉の宝石箱 『いちねんせい』

『いちねんせい』は、谷川俊太郎さんと和田誠さんの名コンビがおくる楽しい詩の絵本です。へんてこりんだけど、キラキラと輝くような言葉の数々が、子どもたちの楽しい日常をすくいとって、学校生活への期待を高めてくれます。

執筆者:大橋 悦子

子どもたちの目から見た世界はこんなに楽しい!

『いちねんせい』は、谷川俊太郎さんと和田誠さんの名コンビがおくる楽しい詩の絵本です。へんてこりんだけど、キラキラと輝くような言葉の数々が、子どもたちの楽しい日常をすくいとって、入学を心待ちにしているプレ1年生だけでなく、昔は可愛い(?)1年生だった人も、フレッシュな気持ちにさせてくれます。子どもたちの目から見た世界は、きっとこんなに楽しく、輝いているのだろうと、読み手の大人まで幸せな気持ちにしてくれる絵本です。

ちょんびにゅるにゅる 『いちねんせい』

『いちねんせい』の表紙画像

聞いたこともない新しい言葉に出会えるのも魅力の、愉快な詩の絵本

「ちょんびにゅるにゅるって何ですか?」そんな声が聞こえてきそうです。実は、私にもわかりません! 『わるくち』という詩の中で、男の子が2人、全身全霊を込めて、喧嘩をしています。それはもう、罵詈雑言の悪口だらけ……のはずでしたが、途中からなんだか不思議な言葉の応酬に変化していきます。

喧嘩相手が「ちょんびにゅるにゅる」と言えば、ぼくだって「ござまりでべれけぶん」と返します。悪口なのかそうでないのか、よくわからないけれど、読むほどになぜか楽しくなる言葉の響きです。そんな訳で、喧嘩の詩を読んでいても、気持ちが明るくなってくるのです。大人は、すぐに詩は難しいと決めてかかりますが、子どもたちは違います。面白い言葉を面白いと感じ、わからなければわからないと言います。そんなストレートな味わい方が、この詩集絵本には、よく似合います。

初めて聞く言葉の響きを楽しみながら、たくさんの詩に触れるうちに、子どもたちは、新しい学校生活への期待が高まり、不安が少しずつ薄れていくことでしょう。子どもたちと友だちになりたがっている(?)『せんせい』が登場したり、すごい『ひみつ』を先生が教えてくれるかもしれなかったり……。詩を1つ読むたびに、早く学校に行きたくなるんじゃないかなあ。

この絵本は、どうぞ親子一緒に、声に出してお読みください。幼子がおもちゃ箱からお気に入りのおもちゃを選び出すように、お子さんはきっとお気に入りの詩を見つけ出し、楽しみながら、すぐに暗唱してしまいます。それは、日本を代表する詩人・谷川俊太郎さんが選んだ言葉の数々が、お子さんの身体の中にしみ込むように入っていった証です。


【書籍DATA】
谷川俊太郎:作 和田誠:イラスト
価格:1050円
出版社:小学館
推奨年齢:5歳くらいから
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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