論文をかくためには
論文は山登りみたいなものです。地道に山頂を目指さないといけません。まずは、既存の論文を読むことから始まります。同じことを書いても意味がありません。何か新しいものを加える内容でなければいけないのです。そうでないとその論文に価値はありません。何か新しいものをつけ加えるためには、その分野の到達点-例えるならば、山頂まで登りつめる必要があります。山頂まで登り、景色を見渡して、はじめて論文が書けるのです。
そのためには既存の論文を探さないといけません。これがまた大変です。図書館やネットで検索をして、先行研究を集めます。しかし、行政書士というマイナーな分野なので、あまり資料が多くありません。それに、公刊されていても、図書館に所蔵がなく、ネットの古本屋から購入しなければならないこともありました。登山同様、論文も下準備にとても時間がかかるのです。
時間との闘い
私はもともと懸賞論文を投稿するつもりはありませんでした。ですから、準備が整っておらず、締め切りまで時間がありませんでした。仕事の合間にさまざまな論文に眼を通し、自身の論文の構成を考えて、少しずつ書き始めました。しかし、なかなかうまく進みません。問題の分析は納得いく文章を書けるのですが、それに対する解決方法について、どうもうまく書けないのです。
そうしている間にも締め切りは刻一刻と迫り、だんだん焦ってきました。このままでは修士論文のときと同じようになってしまうのではないかと嫌な汗が出ます。帯状疱疹や睡眠不足からくる不調に悩まされ、自分の能力のなさだけを痛感する日々。心身ともに限界のなかで学位論文を書き上げたあの辛さ。
しかし、修士論文のあの経験が活きたのでしょう。今回はそれほど苦しみませんでした。とはいっても、校正をして書き上げたのが締め切りの10分前くらいです。インターネット受付の締切が深夜12時だったのですが、11時50分くらいに送信をした記憶があります。結局、今回も時間との闘いでした。
そして発表
発表の当日、私は何とも言えない気持ちで発表を待っていました。自分の論文に、ある程度の手応えと物足りなさの両方を感じていました。それがどう評価されるか。それはわかりませんでした。ホームページが更新され結果が掲載されます。最優秀賞は「なし」。優秀賞に私の名前がありました。妙に納得をしてしまいました。問題分析は納得のいくことが書けたものの、解決の方法に難点があったからです。その点を、選評にて著名な教授の方もそこをご指摘していました。
受賞式典の日、私は渋谷にある行政書士会館で楽しい時間を過ごしていました。行政書士会役員や著名な先生方と、会食や会談もでき充実した時間を過ごせました。