「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録された。和食の店がミシュランにいくつも掲載されている。そして、海外での和食店の急増は驚くべきものがある。和食には日本の伝統酒、日本酒や焼酎がいいけれど、ワインを合わせる楽しみも一つ。現に、ミシュラン星付きの和食店は、今や、日本酒、焼酎よりもワインを置く店が多いほどだ。外食でも家庭でも、和食に合わせるワインにはちょっとしたルールがある。今回は<お魚編>につづき<お肉編>を考える。お肉料理と合うワインをそのルールを含めお勧めをピンポイントで紹介しよう。一押しは、購入も可能。



焼き鳥

ビーニャ ウィリアム フェーブル チリ エスピノ メルロ 2011(チリ) 1449円

カジュアル和食の代表ともいえるのが焼き鳥。世界中の和食店でも提供され人気が高い。塩もよしタレもよし。いろんな部位や味、食感を楽しめるのもうれしい。あっさりと塩でいくなら白ワインがいいけれど、甘辛いタレで楽しむなら軽めの赤にしよう。鶏肉の軽快な旨味と歯ごたえ、タレのコクに、甘酸っぱい赤ワインがきれいにマッチする。メルロ種の滑らかな渋味とちょっとスパイシーで青っぽい風味は、唐辛子ともハーモニーを奏でてくれる。カジュアルなチリワインで価格のバランスもばっちり。安心な組み合わせ。


 


トンカツ

ポール ジンク  リースリング テロワール 2011年 1800円

こちらも海外で大人気の和食「トンカツ」。とはいえ、カツそのものは海外から来た料理。イタリアの「仔牛のカツレツ ミラノ風」やオーストリアの「ウィンナーシュニッツェル」などトンカツの元祖が存在する。

和食トンカツの料理法や味付けも様々にあり一言ではまとめにくいが、ここは元祖に敬意を表し、元祖カツレツ料理に合うワインを和食「トンカツ」にも合わせてみたい。理由はやっぱりおいしいから。

答えは、酸味豊かな白ワインだ。肉だから赤、ではない。さらに多少のコクを持っていればなおいい。たとえば、アルザスのリースリング種。ドイツのリースリングよりもややコクがあり、白身肉ともバランスがいい。さらに、揚げ物全般にも言えるが、揚げ物に合うのはレモン代わりになる酸味のある白ワインというルールにもピッタリ。

ちなみにこのアルザス・リースリング、できればソースなしのとんかつとともに。たっぷりどぼどぼにソースをつけるときには、グルナッシュ種など甘さとスパイシーさのある赤ワインがいい。たとえば、コート・デュ・ローヌ/ギガル(1350円)あたりがおすすめ。



和風おろしハンバーグ

ボンテッラ シャルドネ (スクリューキャップ) 2012 2446円

ハンバーグだって、ドイツ、ハンブルグのひき肉料理が元祖ではある(もちろん諸説ある)。だけど、今やすっかり和食の定番、家庭料理の定番、お母さんの味の定番となった。大根おろしをたっぷり加えてお醤油やポン酢で味付けすればもう和食以外の何物でもなくなる。恐るべし和食の力。

おろしと醤油やポン酢が加われば、全体にあっさりする。合いびきでも豚でも牛さえもあっさりだ。とすればこれまた肉だから赤ではなく、白ワインが寄り添ってくれるというわけ。もちろんあまり軽くて酸っぱい味だとケンカしかねないので、ここは果実味(甘味)のある、やや渋味を伴った樽熟成した白ワインとしよう。

カリフォルニアのシャルドネ。樽熟成をすると金額も高くなりがちだけど、この造り手は高品質なのに良心的価格。柔らかい樽熟成風味が香ばしさがありハンバーグの香ばしさとマッチする。それにスクリューキャップがありがたい。ポン酢のとの相性も意外にOK。

赤ワインがいいというときには、キアンティやお手頃なボルドーがおすすめ。その時は黒胡椒をたっぷりのペッパー・ハンバーグにしてみて。


 

和牛のすき焼き

ボッテガ ピンクゴールド   2346円

すき焼きです。世界中が知っている和食の世界ブランド。日本を代表する歌にもなってます。すき焼きは日本の誇りです。

おおっと、ワインの話だった。すき焼きも大きく分けると関東風と関西風があるが、ここは両方の、牛肉の甘味、脂身のコクを主体に、醤油&砂糖&酒もしくは割下、野菜や豆腐、糸こんにゃく、エノキ……などが混然一体となった全体風味を想定しよう。問題は卵。卵付けますね、すき焼き。これが大きなポイント。肉だけなら赤がいい。しかし卵で肉のコクはより滑らかにあっさりと変化する。

これに合わせるならずばりスパークリングだ。それもロゼのスパークリングだ。やや渋味があるロゼ。シュワシュワの口当たりは口中を洗い流し、スッキリさせ次の一口を誘う。スパークリングならではのクリスピーさはすき「焼き」の香ばしさにも合う。卵の滑らかさに泡のクリーミーさが寄り添う。そして、すき焼きのゴージャスさにスパークリングは持ってこい。
これでどうだ。
スタイリングがまるで霜降り肉のような淡いピンク色でインパクト大のイタリアのスパークリング。ピノネッロのボディも十分に楽しめる。お手頃価格だから家飲みにも。

 

 

 

肉じゃが

タケダワイナリー 蔵王スターワイン 赤 1300円

肉料理とは言い切れないが、でもやっぱりお肉を使った和食、家庭料理の原点はこれ。それこそ家庭によってさまざまな味付けや具がある。牛肉ベースか豚肉ベース、ひき肉のこともある。出汁は濃いめか淡めか、ジャガイモは男爵かメークインか。野菜は何を入れるか、糸こんにゃくか白瀧か三角こんにゃくか。本当に一家族に一肉じゃが。一居酒屋に一肉じゃが、である。

でもワインを合わせるのは実はあまり難しくない。肉の軽いコクと甘辛い出汁、ほくほくとしたジャガイモをベースに考えれば、果実味のある軽めの赤だ。それもここはなんとしても日本のワインでいきたい。日本の代表的なワイン用品種でもあり生で食べてもいしい品種マスカット・ベーリーAだ。一押しは、山形、上山温泉、タケダワイナリーの定番ワイン「蔵王スター 赤」。なぜなら、ほら、山形って芋煮をやるでしょ。あれもどこか肉じゃがに似ているじゃない(芋は里芋だけど)。

芋煮には白もいいけど赤が実にバランスよく楽しめる。もちろん家飲み価格もお勧め要因。マスカット・ベーリーAは、そのほかの家庭料理に全般にも合わせやすい。マスカットという名前だけど白ブドウではなく黒ブドウ。ご注意を。


 

魚同様、肉だから赤とは言い切れないのが和食のお肉料理とワインの組み合わせルール。繊細な味わいや軽快な味わいの肉料理があるということだとも言える。簡単な5種をご紹介した飲みだが、お好みの組み合わせをイメージしていただけただろうか。和食とワインの楽しみは、まだまだ奥深く興味は尽きないのだ。


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