丈と力石の闘いに熱くなる伝説の漫画の映画化
『あしたのジョー』(2010年度作品)ちばてつや原作の漫画「あしたのジョー」の矢吹丈と力石徹は、いまでも語り継がれる伝説のライバルです。舞台は昭和40年代、ケンカに明け暮れる丈(山下智久)はトラブルを起こして少年院へ。そこで宿命のライバルになる力石徹に出逢ったことから始まる物語。ボクシングに打ち込む環境が違う中、同じ土俵で闘うことになった丈と力石。しかし、あらゆる面でハングリー精神の塊のような丈は、粘り強く引くことなく力石にぶつかっていきます。ちょっと『ロッキー』の挑戦者ロッキーとチャンピオンのアポロの関係を思い出しましたね。失う物が何もない男の底力が『あしたのジョー』にはつまっているのです。
この映画はアニメを意識したような構図で撮られていて、ボクシングシーンもスローが多く、絵的な美しさで男ふたりのライバル関係と根底に流れる友情を映し出しています。でもそのせいか正直いって殴り合いの痛さとか荒々しさがないんですよね~。突出しているのは伊勢谷友介の力石。減量シーンの鬼気迫る感じは「演技でここまでやる?」というくらい凄味がありましたよ。山下智久は熱演しつつも、丈にしては綺麗過ぎちゃって、ちょっと泥臭さが足りないかな~。でも逆に女性には見やすい『あしたのジョー』かもしれません。
監督: 曽利文彦
出演: 山下智久、伊勢谷友介、香里奈、香川照之、勝矢、モロ師岡ほか
※次は奇術師のライバル関係をマジックとともに描く『プレステージ』です。