東洋医学による肩こりの分類は4タイプ
こうしたことを踏まえて、さらに肩こりを改善したり予防できる効果があると考えられるツボについて東洋医学的な観点から考えていきましょう。
東洋医学の視点から考えると、肩こりは大きく分けて以下の4つののタイプに分類されます。
- 肝鬱(かんうつ)後頭部から首、肩にかけて硬く張りを感じ、頭痛やイライラを伴う
- 血オ(けつお(※オは病だれに於))首の後と肩が痛む。姿勢の悪さや過去の外傷が原因。
- 痰湿(たんしつ)こりがあることを自覚できるが、さわっても筋の硬さはなく、身体が太っている
- 血虚(けっきょ)顔色が悪くぼーっとし、筋の硬さはあるが押しても痛くなく、こりを自覚していない
それぞれのタイプによって原因が違うため、肩こり改善に効果が期待されるツボもタイプによって変わってきます。ご自分の肩こりがどのタイプに当てはまるかを確認することから始めましょう。
肝鬱タイプの肩こりに効くツボ
肝鬱が原因の肩こりがある場合に効く太衝
まず肝鬱タイプによる肩こりですが、多くの場合ストレスにより「木(もく)」の属性に分類される七情の一つ「怒(ど)」が身体の上部にのぼり、肝の気が停滞することでおこると考えられています。
肝の経絡と連携して働く陽稜泉
こうした場合、停滞した肝の気の循環を整える効果のある「太衝」という肝(かん)の経絡に属するツボと、肝と連携して働く関係にある胆(たん)の経絡に属する陽陵泉(ようりょうせん)を優しく押すことが効果的であると考えられます。太衝は足の親指と人差し指の間を足首方向にたどり、骨の隆起に当たるところにあります。陽陵泉は膝の外側の少し下の骨の隆起(腓骨頭)の前側かつ下のくぼみにあります。
血オタイプの肩こりに効くツボ
血の流れを調整する働きを持つ隔兪
血オが原因の肩こりでは、姿勢の悪さや過去の外傷により筋の動きが悪くなることで「血(けつ)」の停滞が起きています。また、長時間冷たい風に当たることなどにより、「寒(かん)」が体内に侵入し血の運行が失調されることもあると言われています。こうした場合には姿勢を改善するためのエクササイズなども有効です。ツボでは膀胱の経絡に属し、血の運行を整える「隔兪(かくゆ)」に対するマッサージが効果的であると言われています。隔兪は肩甲骨の下端の高さにある背骨の出っ張り(第七胸椎棘突起)から左右にそれぞれ指幅二本分外側にあります。
痰湿タイプの肩こりに効くツボ
胃のエネルギーを整える効果がある豊隆
痰湿が原因の肩こりでは、脂っこいものを好んで食べるなどの偏った食生活や運動不足などが原因で体内の水分である津液(しんえき)が停滞し「痰(たん)」が滞留している状態です。こうした場合にはまず食事内容の見直しや運動習慣を身につける必要があります。
痰を取り除く効果があるとされる陰稜泉
さらにツボでの改善を図るならば、「
お正月太り解消法は?ダイエットに効く東洋医学のツボ」や「
東洋医学で二日酔い対策! 二日酔いに効くツボは?」で紹介した「陰稜線(いんりょうせん)」と「豊隆(ほうりゅう)」が有効であると考えられます。
血虚タイプの肩こりに効くツボ
足三里には血を補う効果があると言われる
血虚タイプでは、過労や月経・出産などにより体内に血が不足し、筋肉に十分なエネルギーが供給されないことが原因で肩こりが起こると考えられています。まずは栄養をしっかりと補給することが大切です。ツボでは「足三里(あしさんり)」が血を補う効果があると考えられており、有効でしょう。膝のお皿の下端から指幅4本分外側にあり、腓骨と脛骨の間にあるくぼみに位置しています。
一般的に肩こりの場合があります、肩周辺にある筋肉にマッサージをすることを考えがちですが、原因は身体を流れるエネルギーの乱れが原因であると考えるところに東洋医学の思想を感じることができます。ぜひ試されてはいかがでしょうか。