出産・育児費用/出産・育児を助ける各種制度

出産の事故に備える「産科医療補償制度」が拡大へ

産科医療補償制度とは、出産の際、なんらかの事情で赤ちゃんが脳性まひになった場合、一定条件を満たせば3000万円まで支給される制度です。2014年1月には、翌年1月から補償対象が拡大されることが決定。今後の動向が注目されます。

拝野 洋子

執筆者:拝野 洋子

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士 / 年金・社会保障ガイド

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産科医療補償制度ってどんなもの?

出産でもしもの事故があったとき、支えになる制度

出産でもしもの事故があったとき、支えになる制度

産科医療補償制度とは、出産による事故で子どもが重い脳性まひとなった場合、総額3000万円を支給するというものです(対象となる基準は後述)。また、第三者による原因分析が行われ、再発防止に取り組むという目的もあります。

運営機関は日本医療機能評価機構。ここが保険会社と保険契約を結び、妊産婦は保険料を分娩機関経由で運営機関に支払います。子どもが脳性まひで補償対象だった場合、保険会社から妊産婦に補償金が支払われます。

掛け金は3万円だが、実質的な負担はゼロ

補償を受けるための保険料(掛け金)は、1人の出産につき3万円。産科医療補償制度に加入している産科クリニックなど分娩機関が負担し、分娩費用に上乗せして妊産婦に請求します。99.8%の分娩機関がこの制度に加入しています。

妊産婦に対しては、健康保険から出産育児一時金39万円に加えて、保険料分の3万円を上乗せした42万円が支給されています。そのため、妊産婦の実質的な負担はありません。

産科医療補償制度に加入している分娩機関にはこのようなシンボルマークが掲示されています。妊娠中の方や出産経験のある方は、見かけたことがあるのではないでしょうか。
シンボルマーク

シンボルマーク(厚生労働省の資料より引用)

妊産婦には分娩機関から登録証が配られます。補償対象の認定審査に必要になるので、母子手帳にはさむなど大切に保管しましょう。

産科医療補償制度の補償対象となる基準は?

補償の対象になるのは、以下の3つの基準をすべて満たした場合です。

  1. 出生体重2000g以上かつ在胎週数33週以上で出産、または在胎週数28週以上でなんらかの異常が認められた場合
  2. 身体障害者手帳1、2級相当の脳性まひ
  3. 先天性や新生児期の要因ではない脳性まひ

上記3要件を満たした重度の脳性まひ児で、出生から5年以内に申請すれば、20年間で合計3000万円(一時金600万円、分割金120万円×20回)が支払われます。

申請期限は子どもの5歳の誕生日まで

補償金を請求するためには、全国で約430名いる専門の診断協力医(※)に専用診断書を書いてもらう必要があります。そして、必要書類と合わせて出産した分娩機関に提出し、補償認定を申請します。 補償認定を申請できる期間は1歳の誕生日(診断が可能な場合は生後6カ月以降)から5歳の誕生日までの間です。

※出典:日本医療機能評価機構HP、2012年12月末時点

ところで、なぜこのような制度が始まったのでしょうか? また、この制度の対象が拡大されることになりました。詳しくは次のページで。

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