分譲マンションの購入価格と火災保険金額は同じではない
分譲マンションの火災保険には勘違い多し
Tさん はい、よろしくおねがいします。火災保険はそもそもわかりにくい商品で勘違いポイントもいくつかあるのですが、加えて当社の場合は対面販売でない分、どうしてもニュアンスが伝わりにくいことがありますね。
清水 たとえば、どのような勘違いポイントがありますか?
Iさん 分譲マンションや建売住宅では、購入金額と、火災保険金額にかなりの差が出ることが多いのです。
清水 そうですね。例えば分譲マンションには、土地や共用部分、業者の利益などもが含まれていますから、専有部分に設定できる火災保険金額は、分譲価格よりも相当低くなりますね。
I さん そうなんです。この点については丁寧に説明していますが、当初に勘違いしているお客様はとても多いです。「5千万円で買ったマンションなのに、1千万円しかかけられないなんて、大丈夫なの?」と言われたりします。
清水 この手の勘違いは、私が相談を受けているときも多いですよ。
I さん 知らない方は多いですが「もし建物に事故があっても、土地は残りますよね」と丁寧に説明すると、ああそうだね、と分かってもらえます。
清水 なににせよ、分譲マンションや建売住宅は、購入金額が火災保険になるわけじゃない、ということをまず押さえておいてほしいですね。
中古物件購入時は、建物構造の資料も引き継いで!
清水 ほかにもぜひ知っておいてほしいことはありますか?Oさん 当社では、ご契約の条件・内容をお電話でお伺いしているので、お客さまには、契約に必要な資料をまず準備してから電話をかけていただくことになります。それはどのような物件であっても同じです。
清水 なるほど。
Oさん ただ、お客様はコールセンターを通じて手続するのが初めてですから、必要な書類が足りないこともあります。特に、一戸建て中古物件の評価に必要な外壁の素材が確認できない場合が多いです。
清水 外壁ですか?
Oさん はい。特に古い物件では登記簿も確認するのですが、屋根などの記載はあっても、外壁の記載はないのです。
Tさん 新築物件なら設計図がありますが、中古物件だと前の持ち主からそれを「もらっていない」とか「もっていない」「残ってない」ことも。他の保険会社から契約を移行する場合でも、「新築当時の書類なんてないよ」という場合、外壁について確認のしようがなくなってしまうんです。
清水 その場合はどうやって確認しますか?
Oさん 施工業者に直接確認してもらうことになりますが、施工業者がすでに倒産しているといったケースもあって・・・
清水 施工業者で確認できないと?
Fさん 残念ですが、その場合は、当社では契約をお断りするしかないんです…。
I さん 家屋調査士など専門知識を持った方に調査してもらう方法もあるにはありますが、外壁調査のためだけに専門家に調査を依頼するとかえってお金がかかってしまいますし・・・。
清水 それは…なかなかツライものがありますね。
Oさん 新築の場合は建物を評価するとき、別の計算方法があるのですが、中古の場合は外壁や屋根などのデータが正しい評価にはどうしても必要になってくるんです。
清水 となると…中古住宅を購入して火災保険を掛けるときには、建物構造の資料を前の持ち主から引継ぐことがとても大切ですね。
Tさん そうなんです。
清水 火災保険の契約に必要というだけでなく、建物をメンテナンスするうえにおいても、どのような構造でどのような素材を使っていて、どんなメンテナンスをしてきたかといった情報はとても重要ですよね。でも、現実にはそれがきちんとなされていないことがあるということですね…
Oさん そもそも「なぜ建物を評価しなくてはならないのか?」「どうして入りたい額で入れないのか」と言われることもあるのですが、火災保険は、建物の評価額を上限として補償を受けられるものです。ですから、お客様の入りたい額で入ると、入りすぎたり逆に少なすぎたりして、いざというときにしっかりと役立たないことが起きてしまいます。しっかり役立つような保険で入ってもらうために、いろいろな情報をお伺いしている、ということをぜひご理解いただきたいですね。
清水 イザという時に思ったように保険金を受け取れないなんて、ほんとうに怖いですからね。
Oさん 評価の重要性を分かってもらって、納得して契約してもらうことがとても大切だと思っています。お客さまの住まいを再建できる金額で入って、安心してもらいたいのです。そこを理解していただけると嬉しいですね。
次のページでも、火災保険の勘違いあるあるを解説します。