絵本/海外の絵本・外国人作家の絵本

「だいすき」に包まれて育つ『ちびゴリラのちびちび』

「だいすき」という言葉が散りばめられている絵本『ちびゴリラのちびちび』。たくさんの「だいすき」に包まれて、誕生した小さな命がすくすくと育ちます。

執筆者:千葉 美奈子

森のみんなが『ちびゴリラのちびちび』が大好き!

森に赤ちゃんゴリラ「ちびちび」が誕生しました。お母さん、お父さんだけでなく、おばあさん、おじいさん、そして仲間のゴリラたちや他の動物たち……。みんな小さなちびちびが大好きです。この絵本には、「だいすき」という言葉が何度登場するのでしょう!? それぐらい、森のみんながたくさんの「だいすき」の気持ちで包み込む中、ちびちびがあっという間に成長していきます。


かわいいのは赤ちゃん期だけ!?

初めての我が子が新生児の頃、私は漠然と思ったものです。「一番ちっちゃい今が、一番かわいい時期なんだろうなあ」。そんな時、既にパパである学生時代の先輩男性にいただいたお祝いの言葉。「子育ては大変だけど、子どもはどんどんかわいくなっていくから頑張ってね」。「へえ~、そうなんだ! どんどんかわいくなっていくんだ!」。まだまだ授乳とオムツ替えと抱っこばかりで子どもの成長を想像する余裕もなかったころ、その言葉に励まされ、睡眠もまともに取れずに、始まったばかりなのに終わりがないように感じる体力勝負の育児を頑張ろうと思ったものでした。


成長はあっという間!

新生児で寝るか泣くかだった赤ちゃん、そして、授乳とオムツ替えと抱っこばかり育児は、2~3ヵ月もするとだいぶ様子が変わってきます。赤ちゃんは表情が増えて微笑むことも多くなり、「あーうー」と盛んに言葉を発するようになり、動きが活発になり、見ていて飽きないかわいらしさをどんどん発揮するようになります。やがてあんよが始まり、言葉が少しずつ出始め、何にでも興味津々でいっときたりとも目が離せない大変さが増していきます……。1歳になって、2歳になって、赤ちゃんだったころより体は大きくなり、自我が芽生えてかんしゃくを起こす姿に時に疲れ果てても、赤ちゃんの頃とは違ったかわいさを、どんどん発見できるのではないでしょうか。

赤ちゃんだったころ、大きな大きなへびやキリン、ぞうやライオンにたくさん遊んでもらったちびちびも、あっという間に遊んでくれたみんなよりも体が大きくなりました。でも、すっかり大きくなったちびちびも、森のみんなは大好きなのです。

命の誕生は奇跡。この絵本を読むと、すべての子どもたちが「だいすき」という気持ちに包まれてゆったり育つことがすくすく育ちますように、という気持ちがわき上がります。この絵本が大好きな子どもたちは、ちびちびが他の動物たちとバラエティに富んだ遊びをする様子や、「だいすき」の言葉が何度も出てくるところがお気に入りのようです。


しっかりとした安全基地を持ったちびちび

乳児期から幼児期前半に、日々お世話をしてくれる人たちと強い関係を築けることは、その子にとっての「安全基地」になり、その土台をもとに、どんどん広い世界への関心を強めていきます。家族や親戚、森の仲間たちによる安全基地で育ったちびちびは、体はとても大きくなっても、お誕生日のケーキのろうそくの本数を見るとまだまだ小さくて、あどけない表情。でもこれから、たくましく自分の世界を切り拓いていくことでしょう。

ちなみに、我が子が乳幼児だったころ、やたら大人びて見えた小学生ですが、我が子が小学生になってみると、一個の人間として育ち続けながらも、まだまだ幼いものです。そして、我が家の一番上の子はまだ小学生ですが、地域の活動で交流する中学生や高校生を見ても、「かわいいなあ」と感じることがよくあります。ひた向きな存在は、体が大きくなってもいつまでも愛しいのですね。

今、小さなお子さんたちの育児に奮闘している方々に、大きくなっても愛しい存在である子どもたちの姿を楽しみにしながら、この『ちびゴリラのちびちび』を味わっていただけたらなあと思います。
 
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