1年次は全員寮生活

順天堂大学医学部は、日本でも最も古い医学塾から始まった伝統ある学部である。その伝統は今日も生きている。まず、医師国家試験の合格率を見てみよう。2009年度で合格率97.9%(全国平均89.2%)は、全国国公私立80校中2位の素晴らしい成績である(過去5年間の平均では、全国1位)。

そのような素晴らしい実績を支える教育の秘訣は何だろう。その一つに寮生活がある。まず、1年次では全員が寮生活を送ることになっている。その寮生活を通じて、全国から集まった学生が様々な違いを乗り越えて人間的に成長していくことが目的とされている。この集団生活が、人間性豊かな医師の養成にとっても不可欠な要素となっている。

さくらキャンパスの啓心寮では、今時珍しい大部屋での生活を送る。一部屋に、1年生7人と2年生1人の8人が生活。この共同生活が、少子化の家庭で育ってきた最近の学生にはかなり大きな意味を持った体験になるようだ。この時に同室になった友達との関係はかなり深いものになる。生まれたときから個室で育ってきた学生にとっては、この体験ほど有意義なものはないだろう。

最近の大学生に珍しくなった縦の強いつながりもある。それを支えるのが、大半の学生が参加するクラブ活動だ。ここに昔の古き良き大学が持っていた「バンカラさ」や「先輩と後輩」のつながりが生まれる。医学部の学生でも5年次ぐらいまで、体育会系のクラブの所属し、熱心に活動するそう。ここで育まれた仲間意識が、国家試験に向けて一眼となるグループ学習へとつながり、高い合格率を生んでいるのだろう。

最近の大学では、一日誰とも話しもせずに授業だけ受けて帰ってきたという人も多い。だが、順天堂大学には大きな総合大学にはない「暖かさ」や「人間とのつながり」がある。その意味で「古い」大学の精神を維持しているまれな大学である。