大学受験

「受験は、子どもが頑張るもの」という時代は終わった……東大生作家が明かす「勝つ家庭」の条件

合格者の約半数が推薦・総合型選抜の今、暗記中心の受験対策はもう通用しません。東大生作家・西岡壱誠氏が、共通テスト激変や英検の重要性など、親子の命運を分ける「令和の受験のフツウ」をリアルに解説します。 ※画像:PIXTA

All About 編集部

受験に「勝つ家庭」の条件とは…… ※画像:PIXTA

受験に「勝つ家庭」の条件とは…… ※画像:PIXTA

合格者の約半数が「学力試験のみ以外」で大学に入る時代。かつての受験勉強は、過去問を解き、知識を詰め込む「ペーパーテスト一発勝負」が正解でした。しかし令和の今、その「普通」はもう通用しません。

大学入試改革により「大学入学共通テスト」が導入され、出題内容は暗記から思考力・表現力重視へと劇的に変化しました。英検や探究活動の重要性も急上昇し、「受験=テスト対策」という構図そのものが崩れつつあります。

この記事では、東大生作家・西岡壱誠氏の最新刊『知らないと合格できない 令和の受験のフツウ』より、教育の大転換期を生き抜くために、親子が知っておくべき情報や戦略を、やさしく、リアルに解説します。
<目次>

 一般選抜が「普通」ではなくなった現実

「受験は、子どもが頑張るもの」

かつてはそれで通用していた。しかし令和の受験において、その考え方はすでに限界を迎えている。今や、家庭がどれだけ「受験の前提条件」を理解しているかが、合否を大きく左右する時代になった。

大学入試改革、英語資格の扱いの変化、総合型選抜や学校推薦型選抜の拡大。制度は静かに、しかし確実に変わっている。その変化を知らないまま「昔と同じ感覚」で臨むことこそが、最大のリスクなのだ。

現在の大学入試では、一般選抜だけが主流という時代は終わりつつある。総合型選抜や学校推薦型選抜で進学する学生は年々増加し、大学入学者全体の約半数を占めるまでになった。これは単なる入試方式の多様化ではない。評価の軸そのものが変わったことを意味している。

ペーパーテストの得点だけでなく、
  • 高校生活を通じて何を考え、何に取り組んできたか
  • どんな関心を持ち、どのように深めてきたか
  • 大学で何を学びたいのかを言語化できているか
こうした点が、書類や面接、小論文を通して総合的に見られるようになった。

「高校3年の夏から本気を出せばいい」「まずは一般選抜が王道」

こうした親世代の常識は、令和の受験では必ずしも当てはまらない。

受験は情報戦になった

令和の受験の最大の特徴は、「努力」そのものよりも、どんな情報を、いつ手に入れているかが結果を左右する点にある。

募集要項、出願条件、評価基準、配点、課される課題。これらは大学・学部ごとに大きく異なり、しかも毎年のように更新される。「知らなかった」「そんな条件があるとは思わなかった」という理由で、受験の土俵にすら立てないケースも珍しくない。

この情報格差を埋める手段として、近年急速に存在感を増しているのがSNSだ。合格者や受験生本人、保護者によるリアルな発信からは、公式サイトだけでは見えない“生きた情報”が流れてくる。
  • どの活動が評価されたのか
  • 志望理由書で何が問われたのか
  • どの時期に何を準備していたのか
こうした一次情報に触れられるかどうかが、戦略設計の質を大きく変える。

親も「受験の当事者」になる時代

令和の受験では、親はもはや単なるサポート役ではない。進路選択、入試方式の理解、情報収集の環境づくりなど、家庭全体が受験の一部を担う構造になっている。特に重要なのは、「親の価値観が子どもの選択肢を狭めていないか」という点だ。

たとえば、
  • 部活動は受験の邪魔だから辞めさせたほうがいい
  • 推薦や総合型は逃げ道で、一般選抜こそ正攻法
  • 資格や活動より、とにかく勉強時間を増やすべき
こうした考え方は、現在の入試制度とズレている可能性が高い。総合型選抜では、部活動や探究活動の継続性が評価材料になることも多く、途中で辞めてしまうことがマイナスに働く場合もある。善意のつもりの介入が、結果として子どもの可能性を狭めてしまう。

それが、令和の受験で起きている現実だ。

「二正面作戦」を理解しているか

令和の受験では、総合型選抜と一般選抜を同時に見据える、いわゆる「二正面作戦」が求められるケースが少なくない。どちらか一方に全振りする受験戦略は、むしろリスクが高くなっている。

総合型選抜は、多くの場合、年内に合否が決まる。その分、準備開始の時期は早く、高校2年生の段階から活動実績の整理や探究テーマの設定、志望理由の言語化が求められることも珍しくない。高校3年生になってから慌てて対策を始めても、「積み上げが見えない」と評価されにくいのが実情だ。

一方で、一般選抜は依然として確かな学力が問われる入試であり、短期間の追い込みだけで対応できるものではない。基礎から応用までの理解を積み上げるには、日々の授業や定期テスト、模試を通じた長期的な学習が欠かせない。総合型選抜の準備に力を入れすぎて、一般選抜対策が手薄になってしまうと、結果的に選択肢を狭めてしまうことになる。

だからこそ重要なのは、「どちらを選ぶか」ではなく、「両方をどう並行させるか」という視点だ。
  • いつまでに、どの入試に向けて、何を仕上げるのか
  • どの時期に学業・活動・書類準備の負荷が集中するのか
  • もし総合型選抜で思うような結果が出なかった場合、次にどう動くのか
こうした全体像を、受験生本人だけでなく、家庭の中でも共有できているかどうかが、令和の受験では大きな分かれ目になる。にもかかわらず、

「推薦があるなら一般はやらなくていい」
「最悪、一般に切り替えれば何とかなる」

といった判断が、十分な情報や見通しのないまま下されてしまうことも少なくない。

総合型選抜と一般選抜は、単に“時期が違う入試”ではない。求められる準備も、リスクの取り方も、スケジュール感もまったく異なる。だからこそ、二つを並行して走る「二正面作戦」には、行き当たりばったりではない設計が必要なのだ。

令和の受験で問われているのは、目先の合否だけではない。どの局面で、どんな選択肢を持てる状態にしておくか。その視点を家庭全体で共有できているかどうかが、結果を大きく左右する。

勝つ家庭に共通する条件とは

令和の受験で結果を出している家庭には、いくつかの共通点がある。
  • 制度の変化を前提として受験を捉えている
  • 情報を「集めるだけ」でなく、取捨選択している
  • 親の経験を絶対視せず、アップデートし続けている
  • 子どもの主体性を尊重し、対話を重ねている
受験はもはや短距離走ではない。小学校、中学校、高校と続く長いプロセスの中で、どのタイミングで何を積み上げるのか。その設計力が問われている。令和の受験において、「知らない」という状態は、それだけで不利になる。努力や才能があっても、情報不足によってチャンスを逃す例は後を絶たない。

だからこそ、家庭がまずやるべきことはシンプルだ。受験の前提条件を正しく知ること。知ったうえで、迷い、考え、選択する。それができる家庭こそが、「令和の受験」に勝つ家庭だと言えるだろう。
  西岡 壱誠(にしおか・いっせい)プロフィール
中高では学力が芳しくなかった。2浪という厳しい状況の中で、自分自身の学びを徹底的に見直し、独自の勉強法を確立。これにより偏差値35から偏差値70まで成績を伸ばし、東京大学に合格を果たす。この経験をもとに、学びに悩む学生たちに希望を届ける活動を展開中。勉強法や思考法の研究と実践に基づいた著書は、ベストセラーとなり、多くの受験生や教育者から支持を集めている。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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