東アナトリア地方 (ネムルトダー、ヴァン、カルス、ドーウバヤジット)
標高5,137mのアララト山の風景
今まで紹介してきた地方と異なり、東アナトリアと南東アナトリア地方は、見どころは山ほどあるものの、観光地としてはまだあまり発達していないハードな辺境地域です。交通の便は悪く、夜になると治安も悪くなる場所も多いので、旅行前に下調べをきっちりしてから行くようにしましょう。東アナトリアの気候は、夏は涼しく過ごしやすいものの、冬の寒さは厳しく長期間に渡るため(マイナス25度前後まで下がります)、旅をするにはあまり適しません。
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ネムルトダー
ネムルトダー山頂のコンマゲネ王国遺跡
ネムルトダーは標高2150メートルの山。そして、その頂には紀元前一世紀頃この辺一帯を支配していたコンマゲネ帝国の遺跡があります。これはかなり見ごたえのある遺跡。夜中にふもとの町を出発してこのネムルトダー山頂に登り、360度パノラマから日の出を見るツアーなども出ており、その美しさは圧巻!夏に是非お勧めです。
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ヴァン
左右の眼の色が異なるヴァン猫
ヴァンには、琵琶湖の5倍もある巨大なヴァン湖があります。ヴァン湖はアルカリ成分が強い塩湖で、コバルトブルーの美しさが有名。また、ヴァンは右目と左目の色が異なる「ヴァン猫」の棲息地としても有名で、ヴァン猫を見るためにわざわざ訪れる猫フリークも多いとのこと。
また、ヴァン湖に浮かぶアクダマル島も有名で、島にあるアルメニア教会は見ごたえがあるのでお勧めです。
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カルス
アニ遺跡(カルス)
カルスはアルメニア国境に近い町で、紀元前350~300年頃までさかのぼるアルメニア王国の首都だったアニ遺跡が有名です。当時からアルメニア人の石工技術は有名で、平野に悠然と佇むアニ遺跡の姿は非常に優美なものがあります。ただし交通の便が悪く、カルスから40キロ以上離れているにも関わらずタクシーを借り切るぐらいしか確実な方法がないのが難点。また、内部は撮影禁止のところもあるので要注意。
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ドーウバヤジット
イスハクパシャ宮殿(ドーウバヤジット)
ドーウバヤジットには、標高2000メートルの高原から町を見下ろす美しいイスハクパシャ宮殿があります。19世紀初頭に完成したこの建物には、セルジューク朝、オスマン朝、アルメニア、グルジア、ペルシア建築の影響があらゆるパーツに残されているということで、ぜひ見ておきたい遺跡の一つ。この近くにはノアの方舟伝説に関連があると言われている、標高5,000メートルを超えるアララト山もあります。