約90%が高齢者……お餅の窒息事故が最も多い1月
不慮の窒息事故が最も多いのは1月で、高齢者とお餅の特性に原因があります。
厚生労働省の統計から「不慮の窒息」による死亡者数をみると、毎年1月が最も多く、次いで12月と、やはり年末年始に偏っています。1月の死亡者数の約90%は高齢者です。また窒息事故の原因として、食べ物によって気道がつまった高齢者は40%を超えています。
東京消防庁管内救急搬送データでは、餅・団子等による窒息事故で救急搬送された人数は、平成20年から平成24年までの5年間で608 人。思っていた以上に多い印象を持ちました。
なぜ高齢者はお餅で窒息事故を起こしやすいのか?
お餅は、温度が下がるとかたくなりはじめ、粘ってくっつきやすくなります。
一方、口腔内や喉の機能は、加齢とともに変化してきます。歯が抜けたり、入れ歯になることで噛む機能が低下し、また唾液の分泌量が減ることで、食べ物が飲み込み難くなります。他にも口腔内の感覚が低下したり、加齢により喉頭が下がってしまい、食べ物が喉を通るときに気道を塞ぎきれずに、食べ物が気道に入り込みやすくなるなど、食べ物を食べて飲み込むための機能が低下します。
お餅が硬くなってくっつきやすくなるという特性と、高齢者の食べ物を飲み込む機能が低下するという傾向により、高齢者のお餅の窒息事故が起こりやすくなるということです。
もちろん、噛む機能が未熟な幼児や、大人でもドライマウスなどが気になる人などは、お餅を食べる時には十分注意したいものです。