構造的な要因で、工事費が上昇
J-REITや不動産株のトレンドが価格動向の目安に


―――工事費の上昇が顕著になってきていますがその影響は?

長谷川氏:
長谷川高氏

「工事費の上昇は、構造的な要因」と長谷川 高氏

消費税以上に、工事費の上昇は不動産市場で大きな課題です。東京五輪と東日本大震災の復興事業で、職人をはじめ人材不足が顕著で、人手が足りない状況です。見積もりすら断られるケースもあるようです。中堅デベロッパーの中には、工事費上昇を受けてマンション用地をそのまま売却するケースも出ています。例えば建物価格2,000万円で考えてみましょう。消費税3%の上昇分は60万円です。マーケットで耳にする施工単価20%アップと仮定すると400万円のアップです。明らかに消費税よりも建築費の上昇の方がマーケットに与える影響は大きいです。

問題は、工事費の上昇が構造的な要因であることです。団塊世代のリタイアは建設業界でも起こっています。中でも型枠工や鉄筋工など職人不足は顕著なようで、東京五輪関連の工事需要が6年も続くことを考えると、長期にわたって労務費が高くなることも考えられます。

とはいえ、価格にそのまま転嫁できるほど、所得が現段階では上がっていません。今の状況下で価格がアップすると、売れ行き不振で在庫が増えマンション価格の下落につながるのではないでしょうか。

―――2014年は、マンションの買い時としてはいかがですか?

長谷川氏:
価格がリーズナブルな時が買い時と考えると、もし価格調整局面が来れば買い時が来ると言えるかも知れません。もし価格がさらに上昇するようであれば時期を待つのも大切だと思います。不動産の先行指標としては、J-REITや不動産株のトレンドを見ると良いと思います。半年先、1年先を表しているとも言えます。両指標が今後、下落していく局面が出てくれば、不動産価格のトレンドも近い将来、調整する(下落する)可能性が高いと想定できます

―――これからマンションを買われる方にアドバイスをお願いします。

長谷川氏:
もともと新築分譲マンションマーケットは、利益が15%~10%程度の薄利の事業構造です。そういう意味では、市場トレンドに合わせた価格設定になりがちです。先高観に左右されずじっくりと選んではいかがでしょうか。人口トレンドが頭打ちの中、長期的な不動産価格の上昇を約束されているわけではないのですから。

ありがとうございました。

編集後記:
長谷川氏から工事費の構造的な問題という話が出ました。良質でリーズナブルなマンションは、今後造りにくくなりそうです。また、J-REITや不動産株の価格推移を指標として見るという話もありました。消費税の影響など見通しにくい不動産マーケットですが、価格トレンドを見るには、様々な視点を持つことが大切だと感じました。


 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。