剪定(せんてい)の必要性とは?
剪定することで、日照や通風もコントロールできる
このように庭木の整枝・剪定は、不要な枝を切って木の形を整えるだけでなく、通風や日照、病虫害の予防といった庭全体にも影響する大事な作業なのです。
庭木の剪定時期
樹形を美しく保つためにも、整枝剪定は大切
ただし、花を観賞することを目的とした木の場合は、花芽の形成時期に注意する必要があります。良くある事例で、お正月を前に庭の木々をこざっぱりと剪定したのは良いが、その後楽しみにしていた花木の花が咲かなくなった……ということがあります。これは花芽の形成時期を考えずに剪定をしたため、せっかくできていた花芽を剪定で切り落としてしまったことによる失敗です。
特に頂芽(春から伸びた枝の先端)に花芽ができて冬を越して春に開花するものは、夏の間には花芽が形成されますから、秋以降に枝を切ってしまうと花が咲かなってしまいます。こういった花木の場合は、花後すぐが、整枝・剪定のチャンスとなります。
忌み枝の種類
さていざ剪定しようというとき、どの枝を切ったらよいのでしょう。整枝・剪定の目的は樹形を整えること、そして不要な枝を取り除くことです。不要な枝とは、樹形を乱したり採光や通風の妨げになる枝、樹勢を衰えさせるような枝のことで「忌み枝」とも呼ばれます。整枝・剪定は、まずこういった不要な枝を整理してから、全体の様子を見て必要に応じて枝を切り詰めて形を整えていくことになります。一般的に、次に挙げるような枝を忌み枝と言います。図解と合わせて、ご参照下さい。青い枝が、剪定すべき忌み枝となる
- 枯れ枝…見た目が悪いだけでなく、病害虫の発生源となったり、風などで突然折れて落下する危険性もあります。
- 徒長枝…飛び枝ともいいます。他の枝に比べて、勢いよく飛び出すように長くまっすぐに伸びた枝で、樹形を崩してしまいます。
- 立ち枝…横に広がるべきところから、まっすぐに直立して伸びた枝で、樹形を崩します。
- 胴吹き…幹吹きともいいます。樹の幹から直接伸びた枝で、樹形を崩すと共に、栄養が他の枝葉に行き渡らなくなり樹を衰弱させる原因にもなります。
- ヒコバエ…ヤゴともいいます。樹の根元から出る細い枝のことで、樹形を崩すと共に、樹を弱らせる原因にもなります。ただし自然樹形が株立ち(株元からたくさんの枝が出る性質)の木の場合は、これにあたりません。
- 懐(ふところ)枝…樹幹に近い懐部分に出る枝で、通風や採光を妨げになります。
- 逆さ枝…自然な枝の流れと逆方向に伸びた枝で、景観を損ないます。
- 重なり枝…平行枝ともいいます。複数の枝が同じ方向に平行に伸びたもので、樹形のバランスを崩します。
- かんぬき枝…二本の枝が樹幹を挟んで左右対称に伸びたもので、樹形のバランスを崩します。
- 車枝…一箇所から三本以上の枝が放射状に出るもので、樹形を乱します。
- 絡み枝…枝が交差するような形に伸びたもので、景観を損ないます。
- 垂れ枝…下がり枝ともいいます。下方に向かって伸びた枝で樹形を乱します。
太い枝の切り方
図1 太い枝は、図の番号順に切っていく
普通の木材を切るように上から切り落とそうとすると、枝の重みで途中から生木を裂くような状態で折れてしまうからです。枝の根元より少し上の部分にまず「受け」と呼ばれる切込みを入れてから、枝を切り落とします。(図1参照)枝を切り落とした後に、あらためて枝の付け根で切り落とします。太い枝を切った後に切り口からの腐敗が心配な場合は、市販の癒合剤などを塗ります。
図2 枝を切る際、1で切ると内芽が伸びて不自然になる。2のように外芽を残すようにしよう
細い枝を剪定する場合は、芽の位置に注意して切りましょう。枝には外芽、内芽がありますが、外芽を残すように剪定します。内芽を残すと、枝は不自然な形に伸びてしまいます。(図2参照)
図3 鋏を入れる位置は、芽に近すぎても離れすぎても良くない
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