植木・庭木/庭木・花木の種類と育て方

庭木・花木の剪定のやり方

正しい庭木・花木の剪定のやり方をご存知でしょうか? 庭木・花木は、植えっぱなしでOKというものではありません。適切な剪定を行うことは、木だけでなく庭全体のためにもなるのです。ここでは庭木の剪定について解説します。

畠山 潤子

執筆者:畠山 潤子

ガーデニングガイド

剪定(せんてい)の必要性とは?

庭木の剪定をすることで、日照や通風もコントロールできる

剪定することで、日照や通風もコントロールできる

庭木を育つに任せていたのでは、日差しが遮られたり風通しが悪くなったりという弊害が生まれます。それによって庭全体に病虫害が蔓延してしまう危険性も伴ないます。スペースが限られた庭では、そこにあったサイズをキープする必要がありますし、古い枝を切って新しい枝に更新することで良い花を咲かせることができるのです。

このように庭木の整枝・剪定は、不要な枝を切って木の形を整えるだけでなく、通風や日照、病虫害の予防といった庭全体にも影響する大事な作業なのです。
 
 

庭木の剪定時期

樹形を美しく保つためにも、整枝剪定は大切

樹形を美しく保つためにも、整枝剪定は大切

一般的に常緑樹は春の盛んな萌芽が一段落する6月頃と夏枝の伸びが止まる10月頃に、針葉樹は春と10月頃に、落葉樹は葉が落ちて休眠期となる11~3月頃に剪定するのが良いとされています。

ただし、花を観賞することを目的とした木の場合は、花芽の形成時期に注意する必要があります。良くある事例で、お正月を前に庭の木々をこざっぱりと剪定したのは良いが、その後楽しみにしていた花木の花が咲かなくなった……ということがあります。これは花芽の形成時期を考えずに剪定をしたため、せっかくできていた花芽を剪定で切り落としてしまったことによる失敗です。
 

特に頂芽(春から伸びた枝の先端)に花芽ができて冬を越して春に開花するものは、夏の間には花芽が形成されますから、秋以降に枝を切ってしまうと花が咲かなってしまいます。こういった花木の場合は、花後すぐが、整枝・剪定のチャンスとなります。
 

忌み枝の種類

さていざ剪定しようというとき、どの枝を切ったらよいのでしょう。整枝・剪定の目的は樹形を整えること、そして不要な枝を取り除くことです。不要な枝とは、樹形を乱したり採光や通風の妨げになる枝、樹勢を衰えさせるような枝のことで「忌み枝」とも呼ばれます。整枝・剪定は、まずこういった不要な枝を整理してから、全体の様子を見て必要に応じて枝を切り詰めて形を整えていくことになります。一般的に、次に挙げるような枝を忌み枝と言います。図解と合わせて、ご参照下さい。
青い枝が、剪定すべき忌み枝となる

青い枝が、剪定すべき忌み枝となる

  • 枯れ枝…見た目が悪いだけでなく、病害虫の発生源となったり、風などで突然折れて落下する危険性もあります。
  • 徒長枝…飛び枝ともいいます。他の枝に比べて、勢いよく飛び出すように長くまっすぐに伸びた枝で、樹形を崩してしまいます。
  • 立ち枝…横に広がるべきところから、まっすぐに直立して伸びた枝で、樹形を崩します。
  • 胴吹き…幹吹きともいいます。樹の幹から直接伸びた枝で、樹形を崩すと共に、栄養が他の枝葉に行き渡らなくなり樹を衰弱させる原因にもなります。
  • ヒコバエ…ヤゴともいいます。樹の根元から出る細い枝のことで、樹形を崩すと共に、樹を弱らせる原因にもなります。ただし自然樹形が株立ち(株元からたくさんの枝が出る性質)の木の場合は、これにあたりません。
  • 懐(ふところ)枝…樹幹に近い懐部分に出る枝で、通風や採光を妨げになります。
  • 逆さ枝…自然な枝の流れと逆方向に伸びた枝で、景観を損ないます。
  • 重なり枝…平行枝ともいいます。複数の枝が同じ方向に平行に伸びたもので、樹形のバランスを崩します。
  • かんぬき枝…二本の枝が樹幹を挟んで左右対称に伸びたもので、樹形のバランスを崩します。
  • 車枝…一箇所から三本以上の枝が放射状に出るもので、樹形を乱します。
  • 絡み枝…枝が交差するような形に伸びたもので、景観を損ないます。
  • 垂れ枝…下がり枝ともいいます。下方に向かって伸びた枝で樹形を乱します。
この他、枝が込みすぎた部分は枝透かしをして、通風と採光を確保しましょう。
 

太い枝の切り方

図1.太い枝は、図の番号順に切っていく

図1 太い枝は、図の番号順に切っていく

枝を切る際は、剪定鋏(せんていばさみ)もノコギリもよく切れるもの使いましょう。切れ味の悪い鋏で切ると切り口がギザギザになり、木にダメージを与えてしまいます。人間でいうと、複雑骨折より単純骨折の方が治りが早いのと一緒です。枝を剪定する場合、多くは枝の根元から切り取ります。ここで注意したいのは、剪定鋏で切れないような太い枝を切るときです。
 

普通の木材を切るように上から切り落とそうとすると、枝の重みで途中から生木を裂くような状態で折れてしまうからです。枝の根元より少し上の部分にまず「受け」と呼ばれる切込みを入れてから、枝を切り落とします。(図1参照)枝を切り落とした後に、あらためて枝の付け根で切り落とします。太い枝を切った後に切り口からの腐敗が心配な場合は、市販の癒合剤などを塗ります。
図2.枝を切る際、1で切ると内芽が伸びて不自然になる。2のように外芽を残すようにしよう

図2 枝を切る際、1で切ると内芽が伸びて不自然になる。2のように外芽を残すようにしよう


細い枝を剪定する場合は、芽の位置に注意して切りましょう。枝には外芽、内芽がありますが、外芽を残すように剪定します。内芽を残すと、枝は不自然な形に伸びてしまいます。(図2参照)
 
図3.鋏を入れる位置は、芽に近すぎても離れすぎても良くない

図3 鋏を入れる位置は、芽に近すぎても離れすぎても良くない

また、枝の途中から切り戻す際も、芽の位置に注意して鋏を入れます。節の間で中途半端に切ると、養分が行き渡らず枝先が枯れることがあります。鋏は芽の上5~10ミリくらいの位置で、芽の方向に合わせて切りましょう。(図3参照)





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