サンタクロースって本当にいるの?と聞かれたら
読んであげたい『ファーザー・クリスマス』
「サンタクロースはどこから来るの? 本当にいるの?」そんな子どもたちからの質問に、ちょっと慌てたことはありませんか? お子さんが少し大きくなるまで、サンタクロースの存在を信じてほしいと思う親御さんも多いものです。サンタの故郷と言われるフィンランドから、サンタの手紙が届くサービスなども大人気ですね。そんな親の想いは今も昔も変わらないようで、長男が19歳になるまでサンタクロースとして、子どもたちに手紙を書き続けた人がいます。それが『ホビットの冒険』で有名なJ.R.R.トールキンだというから、驚きではありませんか! 『ファーザー・クリスマス』は、そのトールキンが綴ったサンタの書簡集です。
息子たちへの深い愛情が感じられる絵本
サンタになりすました(?!)トールキンの手紙には、小説の主人公になってもおかしくないような、ユニークなキャラクターがたくさん登場します。例えば、サンタの相棒である北極熊は(名前をカルフと言いますが)、洞窟で見つけたゴブリンの記号から独自のアルファベットを作り、ごくたまにではありますが、子どもたちに手紙を送ってくることがありました。また、そのゴブリンの最大の敵はノウム(地の精)であり、ゴブリンとサンタクロースの間には常に緊張関係があって、時には一戦交えることもあったようです。サンタクロースたちを取り巻く自然環境は常に厳しく、寒さで書く字が震えたり、雪ダルマになるはずの雪の玉が、崖から落ちてサンタのそりを直撃し、大きな被害を被ったこともありました。それでも、大変なことばかりではありません。美しいオーロラ花火を打ち上げたり、チョコレートをもりもり食べたりと、愉快なサンタの日常もちゃんと報告されています。
こんな手紙が毎年送られてきたら、どんな子どもだってサンタクロースの存在を確信するに違いありません。何年もの間、深い愛情でこのような手紙を送り続けた父、それに対して返信をする子どもたち、そして、それらの全てをきちんと保存していた母、なんて素敵な家族なのでしょう。深い愛情で結ばれたトールキン一家の様子が目に浮かびます。
ところで、表紙に描かれたサンタクロースは、サンタの自画像だと本人(?)が言っていますが、たしか『サンタクロースの辞典』(※)では、サンタの肖像画は1枚も完成していないと言っていたはず…… う~ん、やっぱりサンタクロースは謎多き人物ですね。本当のところ、サンタクロースっているのでしょうか?
【書籍DATA】
J.R.R.トールキン:作 瀬田貞二/田中明子:訳
価格:2940円
出版社:評論社
推奨年齢:5歳くらいから
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※『サンタクロースの辞典』の詳細は
→ ちょい悪サンタが案内人『サンタクロースの辞典』 にてご確認ください。