思わず悲鳴?でも食べてみたい!虫料理はメキシコの伝統食
メキシコの先スペイン期から食べられているのが、虫! その幼虫や卵も立派な食材として、現在も食べられています。かつて先住民たちはカルシウムやプロテインを虫からとっていました。卵や幼虫は季節ものなので、常時取り扱う店は少ないですが、メキシコのレストランでは虫料理は珍味であり、高級料理の部類に入ります。ただ、食材の産地であるメキシコの地方の町では、屋台でも提供され、気軽に食べることができます。
日本にもイナゴの佃煮のような虫料理はありますが、メキシコの虫料理はかなりバラエティに富んでいます。ここでは、一般的に食べられている虫食材のいろいろと、その食べ方について案内します。
代表的な虫食材
■チニクィレス Chinicuiles先住民言語ナワトルで、チニクィレスと呼ばれるマゲイ(竜舌蘭)につく赤い芋虫で、蛾の幼虫。スペイン語ではグサーノ・ロホ・(Gusano Rojo)といわれます。メキシコの中央高原部のマゲイ産地で雨季に収穫されます。マゲイの酒、メスカルの味を深くするとされるので、この芋虫がメスカルの瓶に入っているのを見たことがある人も多いのでは?
チニクィレスを乾かしてすり潰したものを塩とチレの粉末と混ぜた芋虫パウダー=サル・デ・グサーノで、メキシコではマルガリータなどのカクテル・グラスのふちにつけたり、メスカルのあてとして提供されています。強い酒との相性はバッチリで、酒がすすみます。
チニクィレスを油で揚げたものを、グリーントマトや青いチレ(とうがらし)がベースのサルサ(ソース)に入れ、トルティージャ(トウモロコシの粉でできた薄焼きパン)に巻いていただきます。 歯ごたえのある食感とスモークしたような後味が残ります。
実はガイドは生きている芋虫も、食材になっている芋虫も大の苦手でしたが、その風味は他にない、格別な味だと理解できるようになりました。今ではメスカルのあてに、芋虫パウダーは欠かせません。
■グサーノ・ブランコ Gusano Blanco
マゲイの葉の芯部分につく白い芋虫で、チニクィレス同様にメキシコ中央高原部で収穫されます。あまりとれないので高級食材とされています。芋虫を油で揚げたものと、生のタマネギのスライスをトルティージャにのせ、好みのサルサを加えていただきます。ほくほくとした、 芋っぽい食感です。
メキシコ南東部のオアハカ州が産地のバッタ。大量に採れるので、メキシコ全土に流通している食材です。プロテインやカルシウムもとれる、優れた栄養食材。
チャプリネスをにんにくと、乾燥チレとともに炒め揚げたものが市場で売られています。スモークしたような香ばしい味わいと、乾燥桜えびような食感で、意外に食べやすいです。代表的な食べ方は、アボカドや青いチレが入ったサルサの、ワカモレに入れて。コリアンダーや、タマネギのみじんぎりを添え、トルティージャまたは、トルティージャチップスにのせていただきます。トルティージャにチーズを入れて焼いた、ケサディージャに入れても、ぱりっとしたアクセントになって美味しい。一度食べたら、やみつきになる味です。
■アウアウトレ Ahuahutle
ハエの卵で、湖周辺の地域が産地。収穫後乾燥させたものが食材として使われます。乾燥エビのような味わい。鶏卵と混ぜて、ハンバーグ状にしたものを焼き、トマトソースか、乾燥チレのサルサをかけていただきます。
メキシコのキャビアと呼ばれる、蟻の卵。メキシコ中央高原部のグアナファト州、イダルゴ州、プエブラ州、トラスカラ州が産地。希少なことから、高級食材として知られています。バターとにんにくで炒めたり、オムレツのなかに入れたり、さまざまなバリエーションの料理に使われる食材です。食感はねっとりとしていて、卵のプチプチ感はあまりないので、比較的抵抗なくたべられる虫料理です。濃厚かつ、上品な味わい。アボカドと相性がいいです。
■フミレス Jumiles
メキシコ全域に生息するカメムシの一種で、10~5月の間に収穫されます。ゲレロ州タスコでは、毎年10月にフミレスを使ったさまざまな料理のフェスティバルが行われるほど、ポピュラーな食材。生きたまま、さっと炒って、タコスにして食べたり、サルサに入れたりします。カリカリとした食感で、すこしシナモンのような独特の香りがします。チャプリネスがOKならば、あまり抵抗がなく食べられそうです。
写真提供:Lorena Cofradía
Lon & Queta