語学留学に寄せられる過剰な期待
語学習得方法のうち、海外の語学学校で集中的に学ぶ「語学留学」が人気です。近年は、アメリカやイギリスだけでなく、フィリピンなど英語が公用語のアジア圏が、その手軽さから注目されているようです。筆者は、語学留学のメリット―異文化体験や海外から日本を客観的に見る視座の養成など―をもちろん承知しています。しかし、語学留学が身近になって来ているからこそ生じている「過剰な期待」を危惧してもいます。「語学留学さえすれば英語が身に付く」のは本当でしょうか?
巷には語学留学の利点が溢れていますので、今回の記事は、あえて語学留学の「デメリット」について考えてみたいと思います。デメリットを理解した上で、それでも海外で英語を学びたいと決断なさるのであれば、それは意味のある経験になるでしょう。でも、ただ「何となく良さそう」というふわふわした気持ちでは、海外旅行と変わらなくなってしまいます。
語学留学になにを期待するか
語学留学をしたいと考えている場合、どんな効果を期待しているでしょうか。異文化体験や海外経験をしたいと思っているのであれば、十分に価値があると思います。特に英語がある程度身に付いている場合、習得した英語がどこまで世界で通用するレベルであるかを確かめたり、世界中から集まる語学学校の生徒さんと様々なことを議論したり分かち合ったりする良い機会となるに違いありません。つまり、英語の基礎力が身に付いている人が語学留学をするのは、「英語力を試してみる」という点や、「英語を通じた異文化体験」という点において、たとえ短期間であってもある程度効果が見込まれると思います。
ところが、英語そのものが苦手だったり、あまり英語力が身に付いていない段階での語学留学は、以上のようなメリットが得られません。
異文化体験といっても、言葉をあまり介さないもの―ちょっとした買い物や観光など―に限られますし、クラスメイトとの交流においても、挨拶やちょっとした日本の紹介以上の深い交流が出来るかどうかは大いに疑問です。厳しい意見に聞こえるかもしれませんが、デメリットを知った上で行動することの重要性をあえてこの記事では呈したいと思います。
デメリットの具体的な例を次ページで考えてみましょう。