世界中から食通が集まる、シンガポールの隠れ家フレンチ

解説

伝統的な建築、ショップハウスを利用した、隠れ家的な雰囲気

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アンティークの本でできた「ワインリスト」

世界中から、食通が集まるフレンチがシンガポールにある。と聞いてやってきたのが、こちらの「アンドレ」。ピエール・ガニエール、ジョエル・ロブションという、世界に名だたるミシュランスターシェフの元で働いて来た、アンドレ・チャンシェフが2010年にオープンしたフレンチ。世界のベストレストランにも何度も選ばれ、New York Times 紙の「飛行機に乗ってでも訪れるべき、世界の10レストラン」のひとつとして紹介されただけあって、地元のお客さんだけでなく、ここの料理を食べる為だけにシンガポールに訪れるという人も多いのだとか。実際に、予約を取るのもとても大変。何度も日程を調整して、やっとランチの予約を取る事ができました。

 

解説

嗅覚と視覚で味わう「土」

まず、出て来たのは、本物のアンティークの、一冊の本。開くと、何とワインリストになっています。

そして恭しくサーブされたお皿は、アミューズのマッシュルーム。パリパリのマッシュルームで出来たチップ、「土」はマッシュルームの香りのする、チョコレート味のクッキークランチ、横にある「芽」は、タイム。チョコクッキーを「土」に見立てた料理の演出は、東京・青山の「NARISAWA」でも見かけましたが、「土の香り」のするマッシュルームと「視覚的な土」の組み合わせが面白いです。

 

世界の食通をうならせる、その料理とは?

解説

食欲をそそる、目にも美しい、鮮やかなロゼ色の前菜

続いて出て来たのは、魚の前菜。新鮮なしゃきしゃきの白桃、フルーツトマト、トマトのシャーベットに、軽くあぶった、アトランティックサーモンとオマール海老、昆布締めのようにマリネした白身魚。酸味と甘みのバランスが絶妙で、前菜にふさわしい、軽やかなお品。台湾出身のアンドレシェフは、実は日本とのゆかりも深く、少年時代は山梨県甲府市でお母さんの営む中華料理店の手伝いをしていたのだとか。産地の人が好む追熟しない桃の使い方、魚介の絶妙な火入れは、どこか、日本を思わせるものがあります。実際、魚介類の多くは、便が多く、品質の良い日本から取り寄せているそう。

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繊細な包丁技が光る魚料理

こちらは、スズキのメイン。上には細切りにしたネギのフライがのっています。そして、海老の香りの泡の下には、冬の香りのするネギやカブ、牡蠣が。ネギひとつとっても、違った調理法で、素材の色々な表情を楽しんでもらいたいというシェフの思いが感じられます。また、スズキの皮に入った包丁の細かいこと! その為、皮の部分のクリスピーさが強調されています。上のパリパリ感と、クリーミーな下の部分の食感のコントラストが楽しめます。香菜が入っているのが、シンガポールらしいアクセント。

 

解説

フォアグラとトリュフの競演

こちらは、シグネチャーメニューのフォアグラのお料理。フランの上に、熱々のトリュフのソースがかかっています。香り高いトリュフで、濃厚なフォアグラの旨味を包んだ滑らかなフランは、香りと旨味の余韻を残しながら、口の中ですっと溶けて行く……まさにフレンチの王道というべき味わいです。

 
解説

同じ肉でも、少しずつ違う味わいが

肉料理のメインは、日本の黒豚。皮にカリカリに焼き目をつけて、とってもナチュラルなトンポーローのような印象。層に分かれたお肉の部分ごとに、味わいが変わって、面白いです。トリュフを混ぜたワイルドマッシュルームのポレンタと、上にある付け合わせは、ほくほくのジャガイモ。そこに添えられた深い香りのソースは、熟成させたお酒を思わせる香りですが、南フランスの甘い玉ねぎをじっくり炒めて、この独特の香りを引き出しているのだそう。

 

現代アートを思わせるデザート

解説

独特のリズム感のある盛りつけのデザート

デザートは、色々な姿になったチョコレートの盛り合わせ。元々アンドレシェフは芸術家を志していたというだけあって、盛りつけも美しく、まるで現代アートを見ているかのよう。

左のアイスクリームの下には、土をイメージしたチョコレートのクッキークランチ、マカロンに、薄いパリパリのクレープ、ふわふわのシフォンケーキ、クリーミーなチョコトリュフ。

素材は1つでも、料理する人の腕で、多面体のように姿を変えるもの。同じものやことも、とらえ方を変えると、まったく違ったものに見える。おいしい料理を頂きながら、ついつい、そんなことを考えてしまいました。アンドレシェフが創るのは、料理そのものでもあり、同じメニューであっても、食べる人にそれぞれが多面体のようにイメージをふくらませる、インスピレーションに満ちた問いかけのようにも思えたりして。

シンガポールは、中華系、マレー系、欧米系、インド系と、他民族が行き交う「多面体のような」都市。素材を多面体のように表現する、アンドレシェフが創るフレンチは、まさに「シンガポールらしい」魅力で、世界中の食通を惹き付けているのかも知れません。

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■Restaurant André
営業時間:ランチ 12:00~14:00(平日のみ)、ディナー 19:00~23:00(ランチ、ディナーとも月曜、祝日休)
住所:41 Bukit Pasoh Road, Singapore 089855
電話:+65 6534 8880
Email:reserve@restaurantandre.com
アクセス:MRT Outram Park 駅から徒歩4分

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