被災地東北に「希望」の君の椅子を
2011年、3/11東日本大震災で被災を受けた東北3県(岩手・宮城・福島)にもプロジェクトは取り組んだ。壮絶な状況の中で産声を上げていた104の新しい命。「君の椅子プロジェクト」は、連絡を取り合うことのできた3県内98の家族の元へ98脚の『希望』という名の「君の椅子」を贈り届けた。
『岩手のあるお父さんは、「喜んでいいのか悲しいのか、思い惑う10ヶ月だったけれど、椅子をもらって初めて喜んでいいのだと思えた」と語り、また宮城のあるお母さんは、「この子はおめでとうと言われたことのない子だった。でも今日初めておめでとうと言ってもらえたような気がする」と涙ぐみました。(中略)作り手と使い手の関係性こそ、「君の椅子」プロジェクトが大切にしてきた相互信頼というつながりの輪です。』とプロジェクト代表の磯田氏は結んでいる。
「生まれてきてありがとう。君の居場所はここにあるからね」
新しく生まれた子どもの誕生を祝う気持ちとして椅子を贈る。しかも、その町全体でひとりひとりの子どもの誕生を祝う。地域で予算を組み、その地域の木工作家や製作所によってデザイン、製作し、贈り手の「顔」がみえるカタチで、その地域のモノ作りを後押しする。そして君の椅子を贈る。子どもの誕生を「生まれてくれてありがとう」と祝い、「君の居場所はここにあるからね」と子どもの成長を椅子に託している。子どもは成長とともに大きくなるが、この椅子は小さいまま。成長過程の様々な経験の中で「いつでも、ここから始まったんだよ!」と心の居場所として、君の椅子は計り知れない存在となるであろう。
とても温かい視線のモノ作りの仕組みに驚かされる。このようなモノ作りを通して人の関係、社会の関係が求められている時代がこれからの日本のモノ作りの姿のひとつなんだと思うのである。
最後に「君の椅子倶楽部」とは
「君の椅子」プロジェクトに賛同する人たちから「個人でも参加したい」という声に応えて2009年に誕生した倶楽部。椅子を贈ることを通して、地域の枠を超えて、誕生した子どもへの思いを共有する新たなコミュニティとういうべき、ゆるやかなネットワーク。この倶楽部に参加登録することによって個人で「君の椅子」を希望することが実現できる。もちろん、参加費の負担はあるが、思いを同じくする人たちと「椅子」が結ぶ輪を広めることができる。
ご興味ある方は、問い合わせてみてはいかがか。
「君の椅子」プロジェクト事務局 旭川大学事務局庶務課
〒079-8501 北海道旭川市永山3条23丁目1−9
TEL 0166-48-3121 FAX 0166-48-8718
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