Walkmanが初めて、CDよりも高音質が期待できる「ハイレゾ」に対応した。最上位モデルの「NW-ZX1」と「NW-F880」シリーズである。携帯音楽プレーヤー市場では、久々の大きな話題ではないだろうか。ハイレゾ音源を、ハイレゾクオリティーで再生できるのが最大の特徴だ。

今回は、価格面で一般ユーザーの手に届きやすい、「NW-F880」シリーズレビューをお届けする。(試用したのは、16GBモデル/NW-F885)

ハイレゾとは、"ハイ・レゾリューション"の略で、"高精細"を意味し、CDよりも情報量が豊富な音源や再生装置を、ハイレゾ音源やハイレゾプレーヤーなどと呼んでいる。
「ハイレゾ」の詳細については、別記事「ハイレゾ音源とは?」で詳細に解説しているので、合わせて参照頂きたい。

ハイレゾに対応した携帯型音楽プレーヤーは、既に一部のメーカーが発売済みだが、非常にマニアックな存在だった。
今回、携帯音楽プレーヤーの元祖「Walkman」でお馴染み、大手のソニーが加わった事で、一気にメジャーな存在となりそうだ。(定着するかどうかは、現時点で分からないが)
ソニーは、ホームオーディオや音楽配信も"ハイレゾ対応"を全面的に打ち出すなど、ハイレゾへの包括的な取り組みを強化しており、本機はその一端を担う製品である。

使い勝手はアンドロイド端末そのもの

NW-F885undefined画面

見た目はアンドロイド端末

「Walkman」の名を冠しているが、アンドロイド端末そのものである。音楽再生はアプリの一つとして扱う事になる。
音楽だけを聴きたいユーザーや、アンドロイドOSに慣れていないユーザーにとっては難解だ。スマホやタブレットに触れたことの無いユーザーには敷居が高いだろう。
一方で、アンドロイドOSによる自由度と汎用性は、使いこなせるユーザーにとってはメリットも多い。
AV系なら、レコーダーに録り貯めた番組の持ち出し、YouTubeの視聴なども可能で、一台何役にでも使える。因みにカメラ機能は搭載していない。
本機の使い勝手については、意見が真っ二つに分かれそうだ。

音質は何かと組み合わせによる

NW-F885undefined側面ボタンundefinedオーディオ操作

本体側面にオーディオ操作ボタン

肝心の音質だが、いろいろなヘッドホンを組み合わせて試聴した。
まず、CD音質(44.1kHz/16bit WAV)の音源を、本機とiPhone5にセットし、ソニーのオーバーヘッド型ヘッドホン「MDR-10R」とSHUREの「SRH1840」で聞き比べした。
本機ではやや微少な音、残響音も聞き取れ、リッチな印象はあるが、大差というレベルではない。多くのユーザーにとっては、どちらも不満の無い音質に違いない。
次にハイレゾ音源(96kHz/24bitのWAVとFLAC)を本機で聞く。「MDR-10R」では低域を中心に厚みを増した印象を受けるが、「SRH1840」ではあまり変化を感じない。アンプのドライブ能力に期待したが、「ヘッドホンアンプはもう不要だ!」と言えるほど強力ではないようだ。
最後に、ハイレゾ音源で付属のイヤホンと、SHUREの「SE535LTD」で聞き比べした。「SE535LTD」では、予想に反してあまり良い結果が得られなかった。iPhone5でCD音質の音源を聞くのと何ら変わりない。一方、付属のイヤホンを組み合わせると、驚くべき音質に。埋もれがちな微少音や消えゆく残響音も豊かで、空気感や空間の広がりも感じ取れる。ヴォーカルのニュアンスも豊かで、従来の携帯型音楽プレーヤーの限界を、ハイレゾで超えたと言える仕上がりだ。ただし、聞き込むとやや線が細い印象があり、ヘッドホンとセットで、ユーザーがハイレゾに期待する音調にチューニングしたようにも思える。

総括すると、本機のハイレゾ再生能力にはアドバンテージがあるが、組み合わせるヘッドホンやイヤホンで印象は大きく異なる。付属のイヤホンは、本機との相性も吟味されているようで、おすすめできる組み合わせだ。お気に入りのヘッドホンやイヤホンを所有しているユーザーは、店頭のデモ機などで確認をお勧めしたい。

蛇足だが、「SE535LTD」を装着し、音楽停止時に画面のタッチ操作を行うと、画面の切り替わり時に、極微少な音量ながら「ジリジリ」というノイズ音が聞こえる。使用上は問題がなく、音楽を聴いているときには全く影響が無いが、オーディオ機器としては改善して欲しいポイントだ。

使えるノイズキャンセリング

NW-F885undefinedプラグ部

付属イヤホンはノイズキャンセリング対応

本機にはノイズキャンセリング機能が搭載されていて、付属のイヤホンと組み合わせると、周囲の雑音を電気的に打ち消す事ができる。
一般的にノイズキャンセリング機能を利用したい場合、ノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドホンを購入する必要があり、プレーヤーとは別にヘッドホンも充電しなくてはならない。ノイズキャンセリング機能を使う前提なら、本機はスマートな選択と言える。
実際に試してみたが、騒音低減能力は高く、誰もがその違いを認識できるレベルである。騒音が低減すれば、ボリュームを上げずとも音楽もより明瞭に聞こえるし、ハイレゾの得意とする微少音の再生能力も活きてくる。ノイズキャンセリング機能をオンにしても、音質の劣化は感じられず、実用的だ。
通勤や通学で交通機関を利用するユーザーには、魅力的な機能と言える。

まとめ

本機の音質は、携帯音楽プレーヤーとして優秀であるが、ハイレゾに精通し、ヘッドホンにもこだわるオーディオマニアなら、組み合わせは確認しておいたほうが良いだろう。最上位の「NW-ZX1」も検討すべきかもしれない。
付属のヘッドホンを利用し、アンドロイド端末としての魅力も感じるユーザーなら、本機は面白い選択だ。音質的にも「ハイレゾ」の良さが体感できるし、アンドロイド端末としてサクサク動作する快適さは、おすすめできるレベルである。


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